週刊朝日 2013年3月8日号 http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130227-00000004-sasahi-soci


 福島県は2月13日、東京電力福島第一原発事故の発生当時に18歳以下だった3人が甲状腺がんと診断され、7人に疑いがあると発表した。しかし福島県の県民健康管理調査検討委員会は、原発事故との因果関係はないとした。作家の室井佑月氏はこのことについて次のように話す。

*  *  *

 3万8千人の子供たちの中から、甲状腺がんの子が3人、疑いのある子が7人ってどうなのか。だって、通常では子供に甲状腺がんが見つかる可能性は100万人に1人か2人なんだという。

 しかし、このことに対し、福島県の県民健康管理調査検討委員会の方々は、こんな風にいっている。福島県立医大の鈴木真一教授は、「甲状腺がんは最短で4~5年で発見というのがチェルノブイリの知見。今の調査はもともとあった甲状腺がんを把握している」。つまり、福島第一原発事故による放射線の影響じゃないんじゃない、ってことをいいたいんだ。

 検討委の山下俊一座長、「数だけ見ると心配するかもしれない。しかし20代、30代で見つかる可能性があったものが、かなり前倒しで見つかった」とまでいいきった。

 通常より、子供たちに甲状腺の異常が多かったことを指摘されると、「(比較する)前例がない」だってさ。

 あたしはさ、この人たちのこの問題に対する対応に、ほんと虫酸が走る。福島第一原発が事故を起こした。そして、人体に悪影響を及ぼす放射能が漏れた。原発周辺に住む人々は、事故後に国から適切な情報を貰えず、大なり小なり被曝した。

 その事実は決して変えられないことだ。変えられないことだけに、反省し、被曝した可能性がある人たちの側に立って、これから物事を考えていかなきゃいけないと思う。

2013/2/26 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ


福島原発事故の放射能被曝による健康被害を懸念した郡山市の小中学生14人と保護者たちが集団疎開を求めて裁判を起こしている。「ふくしま集団疎開裁判」と呼ばれ、仙台高裁で抗告審が続いているが、そこに衝撃的な医師の意見書が提出された。

福島の小児甲状腺がんの発生率は「チェルノブイリと同じかそれ以上のおそれがある」と指摘しているのである。

裁判は原告側が11年6月に郡山市を相手取り、福島地裁郡山支部に仮処分申請して始まった。1年8カ月にわたる「異例」の長期裁判を経て、近く結論が出るとみられるが、19日付で原告側から一通の意見書が提出された。

北海道・深川市立総合病院内科部長の松崎道幸医師が書いた「今、福島の子ども達に発生している甲状腺がんについて」である。松崎医師は、福島の県民健康管理調査の検討委員会が13日に公表した「18歳以下の甲状腺がんは3人」との報告を受け、チェルノブイリ原発周辺で行われた10歳以下の子どもの健康調査データと比較した。その結果、チェルノブイリでは事故後5年経ってから、約1万4000人に1人の割合で甲状腺がんが見つかったのに対し、福島は3800人に1人(7人の疑いも含む)と極めて高く、しかも、発見された期間が短いことから、今の福島の子どもたちが「チェルノブイリ高汚染地域の子どもに匹敵する頻度で甲状腺がんが発生し、今後、激増する恐れがある。福島中通りとその周辺の放射線レベルの高い地域に居住を続けることは、医学的にまったく推奨できない」と断じているのだ。

興味深いのは、チェルノブイリ原発周辺の健康調査データをまとめたのが、県民調査も指揮している山下俊一・現長崎大大学院医歯薬学総合研究科教授であることだ。「放射線はニコニコ笑っている人には来ない」とのトンデモ発言で総スカンを食らった人物だ。

「調査データをまとめた『山下論文』では、持続的な低線量被曝も子どもの甲状腺がんにつながる可能性を指摘している。この通りなら、福島の子どもは一刻も早く疎開させるべきだという結論になります」(福島県政担当記者)

こんな意見書の存在がてんで報じられないことが恐ろしい。


http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2013/02/post-a40d.html

2013年2月26日 植草一秀の『知られざる真実』

日本のマスメディアは安倍晋三氏の訪米を持ち上げる報道を懸命に展開しているが、壮大な三文芝居、茶番の域を出ていないことは誰の目にも明らかだ。

安倍晋三氏がオバマ大統領にゴルフのパターを贈呈し、

Get in the hole! Yes, we can!

とジョークを飛ばしたとメディアは伝える。

そのうえで、こうした当意即妙のやりとりがあったおかげで、日米首脳会談で「聖域なき関税撤廃」を前提としないことが確認され、日米共同声明が発表できたのだという。

さすがは、「やらせ」と「仕込み」を専売特許とする日本のマスメディアである。

こうした報道を繰り返し、安倍訪米が成功であったとのイメージ・キャンペーンが展開されている。


ここまでやると、よほど間の抜けた人でなければ、逆に報道に対する不信感が増幅されるばかりである。

スポンサー収入が減ったテレビ局と出演料が減少したタレントのタイアッププログラムである、テレビを活用した通販番組、別名、「売りつけ番組」の仕様とほとんど変わらない。

「青汁○○」の売りつけ番組などでは、飲食店を経営する主人が出てきて、朝から晩までの激務で成人病体質になり、ついに脳卒中で倒れてしまう。

ところが、その後に「青汁○○」に出会ったおかげで、いまでは元気はつらつ、血糖値も血圧も下がって、健康三昧の生活を送っている。

あるいは、床に鍋の汁をこぼしてしまってカーペットを汚してしまった。

しかし、この「○○クリーン」を使って、カーペットをひとつまみするだけで、あらびっくり。カーペットのシミもすっかりきれいになった。

スタジオの観客が一斉に感嘆の声をあげて拍手喝采。

こんな「やらせ」プログラムが専売特許というのが、日本のテレビメディアである。


安倍晋三氏は「聖域なき関税撤廃を前提とする限り、TPP交渉には参加しない」とのフレーズを、常に一字一句違わぬように発言してきた。

そして、年が明けて、日米首脳会談が2月末に先送りされてしまうと、今度は、

「聖域なき関税撤廃を前提とするのかどうかを日米首脳会談で直接私が確かめて判断したい」

完全なる「やらせ」、「出来レース」、「三文芝居」、「茶番」である。


「TPPに聖域を設ける」

「日本の国内事情を鑑み、コメ、小麦、乳製品、牛肉、砂糖については例外措置を認める」

ことを安倍氏が交渉を通じて勝ち取ったというなら、それは一定の成果と言えるだろう。

しかし、一連のやり取りで明らかになったことは、

「一方的に全ての関税を撤廃することをあらかじめ約束することを求められるものではないことを確認」

しただけである。

その一方で、

「全ての物品が交渉の対象とされること」

が明記された。

さらに、

「日本が「TPPの輪郭(アウトライン)」において示された包括的

で高い水準の協定を達成していくことになること」

も確認されている。


つまり、消費税増税法案に賛成する条件として、景気条項をつけるような話でしかない。

「例外なく消費税率を引き上げることを前提とする以上消費税率引き上げ法案には賛成できない」

と主張していた人が、

「例外なく消費税率を引き上げることをあらかじめ約束することを求められるものではない」

ことを確認したとして景気条項を付けた消費税増税法案に賛成するようなものだ。

景気条項とは、「2013年10月までに経済状況を踏まえて消費税増税の実施を最終判断するもの」というもの。

これが「単なるお飾り」で、消費税増税を強行実施するための、一種の「偽装工作」であることは誰もが知っている。


「聖域なき関税撤廃」を前提とはしないということだから、たったひとつでも例外品目が設定されることになるのだろう。

しかし、そんな些細な一事とTPP参加という重大事を取引できるわけがない。取引すべきでもない。

言葉の偽装、レトリック、一種のペテン=詐欺を用いて、このような重大事を押し通し、その欺瞞を糊塗するために、メディアが政府絶賛報道を展開する。

これは小泉竹中政権による「りそな銀行救済劇」のパターンとまったく同一だ。

「自己責任原則の貫徹」が崩壊して「公的資金による銀行救済」に堕落した政策対応を日本経済新聞が「画期的な金融改革」と偽装報道した。これで汚点となる政策対応が正義の政策対応に塗り替えられた。

米国がシナリオを描き、米国の僕(しもべ)たちが台本通りに三文芝居を演じているだけに過ぎない。