大阪府立高校に通っていた2年の女子生徒が昨年4月に自殺した事案があり、大阪府教育庁の第三者委員会は9月8日、「女子生徒へのいじめがあった」と認定しました。
調査報告書で、「対応を誤った」と学校側を批判しました。
第三者委員会の報告書によると、女子生徒は昨年4月、高層住宅の上層階から転落しおなくなりになったとのこと。
亡くなった後に見つかった女子生徒の生徒手帳には、遺書のメモが挟まれていました。
報告書では、女子生徒が同じ学校の6人の男子生徒グループから、化粧について「けばい」とやゆされたことなどをいじめと認定しました。
女子生徒は2020年12月にスクールカウンセラーに、いじめを相談していましたが、対策が取られませんでした。
第三者委員会は、女子生徒が「あいつらにいじめられていてつらい」と書いた遺書を書き残して自殺していることから、「いじめと自死との間には強い関連性がある」と認定しました。
報告書で、第三者委員会は、女子生徒から訴えがあったのに学校側がいじめと認定しなかったことも問題とし、「対応は誤りと言わざるを得ない」と批判しています。
報告書によると、いじめが始まったのは遅くとも20年10月以降。
保健室で休むようになり、遠足を欠席、スクールカウンセラーに、いじめを相談していました。
学校は管理職も参加する「いじめ防止対策委員会」を開きましたが、「具体的な行為が特定できない」としていじめとは認めませんでした。
生徒本人が、いじめで辛いと相談していたにもかかわらずです。
2年への進級の直前、女子生徒が特定の男子生徒とは同じクラスにしないよう担任に訴えた際、管理職に情報が共有されず、改めて対策委員会が開かれることは、ありませんでした。
第三者委員会は、いじめがいつ、どこで行われたか特定できなくても、被害生徒が苦痛を感じているのなら学校側が「いじめ」と認めて対処すべきだったと指摘しました。
女子生徒のいじめを訴えた相談があったにもかかわらず、学校の初動対応が遅れた上、クラス替えに関する女子生徒の訴えを「SOS」ととらえずに、対策せず管理職への報告対応がなかったことも問題視しました。
第三者委の部会長を務めた上将倫(かみまさのり)弁護士は8日の記者会見で、「『苦しんでいる生徒や児童に何かできないか』という観点から考えなければならない。スクールカウンセラーらの役割の拡充や配置時間の増加が必要だ」と述べました。
大阪府教委員会は「報告書の内容を真摯(しんし)に受け止め、対策に取り組みたい」として、会見をしました。