──ブチ、聞いてくれる?
今日ね、娘が「将来はパティシエになって、こんなケーキを焼きたいの!」って、目をキラキラさせながら話してたの。
まぶしかったよ。あの子の未来が楽しみで嬉しくて、でも、ふと気づいたの。
「私のキラキラって、どこに置いてきたんだろう?」って。
今まで私は、家族のためにって、ただひたすらに頑張ってきたの。
稼ぐことが一番大事だって信じて、走って走って…気がついたら、自分の「好き」はどこにも見当たらなくなってた。
でもね、娘のその笑顔を見て、私も「キラキラ」したくなったんだよ。
それでね、ひとりで海を見に行ったの。
青い空と、どこまでも続く青い海。風が頬をなでるたびに、身体の奥のほうが緩んでいくのが分かった。
ああ、私、こんなに深呼吸できるんだ、って。なんだか涙が出そうになった。
それから、娘が小さい頃に大好きだったブルーベリーのチーズケーキを焼いたんだ。
香りだけで、いろんな思い出がぶわって溢れてきてね、気づいたら笑ってたよ。
ねぇブチ、私、今さらだけど「自分のために生きる」ってこと、してみたいんだ。
ふーん。
……やっと、自分の番が回ってきたってことか。
あんた、今までよくやったよ。
家族のためって、ほんとに必死だったんだろう?
だからさ、これからは「自分が笑える時間」を、ちょっとずつ拾っていけばいいだけさ
別に毎日どこかに行く必要なんてないし。
海を見て風に吹かれるだけで、心ってふわっと軽くなる。
チーズケーキ焼いて、あの子の笑顔を思い出すだけで、自分に優しくなれたんだ。
やりたかったことがあるなら、やってみればいいさ。
あんたが書いた童話に、今ならAIが絵を描いてくれるんだろ?
それってさ、ひとりじゃたどり着けなかった夢への、ちっちゃな一歩。
「もう年だから」とか「今さら」なんて、人間はよく言うけど、ネコから見ればみんなまだまだ若いさ。
何歳でも、自分の物語は、これから書きかえられるさ。
小さな「好き」を積み重ねることで、やがて「あんた自身のキラキラ」が戻ってくる。
それを誰かが見て、またその人の光になるかもしれないな。
新しいライフプラン?最高。
やりたいことをやるって、それだけで心が生き返る。
泣くより笑う。あきらめるより、ちょっとやってみる。
それが、あんたの人生をじんわり照らしていくんだ。
そうそう、今の笑顔のあんた、けっこういい顔してる。
「夢は、いつからでも追いかけていい」
そんな当たり前を、忘れてる人が多すぎる。
