➁陣痛から出産まで〜なんだこの痛みは!?〜 | ザクロえびのケセラセラ

ザクロえびのケセラセラ

ベトナムで三年間日本語教師従事後帰国、
2017年に20歳離れた年上の日本人の旦那様と結婚し、
ドタバタ結婚生活が始まる。
心の成長を目指す ザクえび の徒然日記。

翌日朝7時に目が覚めた。
どうもあれから5時間も寝れたらしい。
陣痛カウントも、止めるボタンを押しそびれ
5時間も無駄にカウントし続けていた。

看護師さんに朝来いと言われたけど、
まだ、大丈夫そうだ。
産院に行く前に掃除なんかしちゃおう。
そう思い、思いつくままに掃除、洗濯、朝ごはんと普通に過ごした。

11時半頃。
「あらら、お腹の張りが短くなってきたかな。」
カウントをつけてみるも、5分、8分、10分と一定せず。
しかし、歩けるうちに病院へ行くことにした。
とりあえず、旦那に「今から入院する」とメール。
すると「お母さんに来るように連絡して」と返信があった。
お母さんというのは旦那のお母さんであって、
私からはお義母さんである。
実母は脊椎狭窄症で入院しているため、
来ることは出来ないとあらかじめ分かっていた。

わざわざお義母さんを呼ぶのは悪いし、
私も気を使ってしまうと思ったので、
「平気、平気ぃ!」と返信した。

さて、楽々と産院について、
出産待合室のような病室へ案内される。
流れるままに
すぐに寝巻きに着替えさせられ、
オムツを履かせられ、陰部の毛を剃られた。
お腹には赤ちゃんの心音が分かる機械をペタペタとはられた。

いよいよお産なんだなぁ。
とまだ余裕な私はワクワクしていた。
「えびさん、お昼ごはん食べる?天ぷらそばよ。」
と看護師さんに声をかけられた。
「食べます!」
お産の前には体力つけとかなきゃと勢いよく答えた。この産婦人科は入院食が美味しいことでも有名で楽しみにしていたのだ。
天ぷらもそばもぺろりと食べた。

枕元にはスポーツドリンク、テニスボールを置いた。そうそうリラックスするために用意したゆずのアロマオイルも手元に置いた。

そして、1時半頃。
ん?なんか、間隔が短くなってきたような…。
ベッドの上でうずくまる。
じわじわと尾骶骨を突っつかれるような鋭い痛み。
ががが…!動けない。
固まってしまい、冷や汗が出る。
すると、突然、胃が押されて吐き気がした。
ナースコールを押し、桶を持ってきてもらう。
カウントを見てみると、2分間隔になっていた。
痛みがなくなったと思ったら、またじわじわとやってくる。私はタオルを咥えて痛みに耐えようとした。
まったく、アロマオイルどころではない!
腰が痛い!腰が痛い!
さすりたいが動けない!
頼りになる看護師さんは、
当たり前だが、ずっと側に居てくれるわけないので、私は冷や汗をかいて、我慢していた。

すると、「えびの病室はどこでしょうか。」
聞き覚えのある声が聞こえる。
なんとお義母さんが見舞いに来てくれたのだ。
旦那が一人じゃ大変だろうと、お義母さんに連絡しておいてくれたのだ。
その時の安心感ったらない。
お義母さんが天使に見えた。

お義母さん、すみません…。
その後はあががががと言いながら、腰が痛いやらお腹が痛いやら、さすれやら、水やら、死ぬやら、遠慮などする余裕もなく、
お義母さんに甘えまくった。

「またくる、またくる…!」
陣痛がくるのが恐怖になった。
確かに、赤ちゃんの頭が骨盤まで降りて来ているのだろう。腰が引っこ抜けるほど痛い。
「痛い!痛い!力んじゃう!」
私があまりにも騒ぐので、お義母さんがナースコールを押した。
看護師さんが来る。
「産まれます!」と私。
オムツをめくり、子宮口を確認される。
「いやいや、まだまだよ。」
頑張ってね。と一言、看護師さんは去って行った。
え!?それだけ!?この痛み、苦しみをどうにかしてくれないの!?

「えびさん、力んじゃだめよー。全開になるまでがまんよー」
そんな、酷な!

陣痛には波がある。
スゥと痛みが遠のき、そして津波のような痛さがやってくる。
例えるなら、
電車に乗っている時、お腹を下してしまい、出さぬように我慢して、冷や汗をかいて、足はガクガクし、朦朧としている状態だ。
もう一駅まで我慢できるかなって感じで痛みが引き、やっぱ無理やー!降りますー!と押し寄せる。
下痢なら出せばすっきりするが、
こちらは出さないように耐えなければならない。
出したい!出したい!力みたい!

私「出る出る!」ナースコール
→看護師「いや、まだまだダメよ」の繰り返し。

力み見逃しの「ヒィヒィフーゥ」を試みるが、
声に出さないと耐えられない。
「ひぃひぃぶぅーうー!」
デカイ震えた声が私のいる階に響き渡る。
今思えば、この階はガラス越しに新生児がみれる所だったので、お見舞いに来た人達には丸聞こえだっただろう。
担当ではない看護師さんがひょこっと現れ、
「大変ね!頑張ってね!」と励ましてくれた。

でも、それどころじゃない。
同情するなら金をくれ ならぬ、
同情するなら処置してくれだ。 

お義母さん、ダメだ。死ぬ死ぬ…。
お義母さんは私の手をにぎり、腰をさすり、
私の様子を、冷静に見てくれていた。

③へつづく


料理は美味しかった。