日本へ一時帰国して、驚いた。
東京の街を見渡すと、なんて子供の少ないこと。
そして、駅のカフェで改札を行き交う人々を眺める。
おじさん、おばさんの多いこと。
肌で感じた通り、数字でも露骨に差が表れていた。
ベトナムの人口ピラミッド。
そして、日本の人口ピラミッド。
ベトナムの平均年齢は24.5歳。
日本は、なんと、45歳。
ベトナムのピラミッドは40年前の日本と同じだそうだ。
今回、
そんな日本を担っているおじさん達と会う機会があった。
スーツを着て、せわしなく電話がかかってきて、歩きながら話している。
芸人の芋洗坂係長のように、
見事に、上から、ボン、ボン、ボンSTYLE。
しかし、
世の為、人の為と、
ビジネスとして展開できることはないかと、常にアンテナをはっていた。
機敏で、敏感で、物知りで、時に恋バナに花を咲かせるおじさん達にはかなわないのだった。
兎に角、日本のおじ様はまだまだ元気です。
一方、
ベトナムのおいちゃんは何をしているかと言えば、
昼間から、露店の喫茶店で、ビールを飲んでいる。
ランニングシャツを腹までめくりあげ、その豊かなお腹をさすりながら、町ゆく人のちょっかいを出している。
「アジノモトー!!」
ヤニで黒ずんだ歯をむき出しにして、私に向かって手をふってくる。
アジノモトはベトナムでは生活必需品の調味料。「日本」の代名詞だ。
異国の地で、日本語ひとつ分からない、おじさんが、一生懸命?話しかけてくれるなんて、
心がほっこりするではないか。
イッヒッヒと笑う黒歯のおいちゃんが可愛く思えてくる。
なので、私も、笑顔で応対する。
こちらも、ナンプラー!(魚醤)
とは言わないけど。
「ねぇ。あのおいちゃん達は仕事しているの?」ベトナム人の友達に聞いた。
「うんん。働いてないよ。」
「えっ。じゃぁ、まさか、奥さんが働いているの?」
「うん。たぶん、奥さんが働いている。」
ハンモックでうたた寝しているおいちゃんを何とも言えない気持ちで眺めた。
(注もちろん働いている人もいますよ。)
両国のおじさんの共通点は、
大きなお腹だった。
…
今回の帰国で、日本に留学に来た教え子に会った。
半年一緒に授業をすることは、
たかが日本語教師といえど、
20歳前後の学生達に、
少なからず影響を与えていることが分かった。
皆、「せんせー!」
と顔をほころばせ、
抱きついてきてくれた。
国でも勉強をがんばっていた子は、日本を満喫していた。
上手じゃなかった子は寂しがっていた。
少しでも、彼らが夢に近づけるように、アジノモト人として、ベトナム人留学生を味つけしてあげたい。
と、思った のであります。