セメント色の蝶々高校からの帰り、道に見たことのない蝶々が落ちているのを見た記憶がある。落ちていると言うより、叩き付けられていると言う方が良いかもしれないが、私はそれを、拾って食べたのだ。懐かしい気持ちになったが、それと同時に苦さが口中を支配し、吐き出すしか選択肢はないかのように胃の中の物が逆流しようとしていた。命の重みを知ったのは、この瞬間だ。目に見えなかった命を舌で感じ、体で感じた。地球儀が丸いのと同じだ。