労務管理や労働社会保険関係手続き、助成金の申請などもおこなう社会保険労務士のブログです。
弊所においては、賃金制度の構築や人事制度の構築などの各種コンサルティングもおこなっております。
厚生労働省から、令和6年5月の毎月勤労統計調査の速報値が公表されています。
これによると、現金給与総額が1.9%の上昇なのに対して、消費者物価指数が3.3%の上昇ということで、実質賃金は26か月連続マイナスの1.4%の低下となったようです。
春闘の賃上げの効果が現れてくるのがこの5月の数値でしょうから、以前にも言ったように、実質賃金が若干でもプラスになるかもという可能性があったのがこの5月だったのですが、結果はマイナス1.4%ですから、やはり2か月前のこのブログでも述べたように、実質賃金が夏ごろにプラスになると言っていたようなエコノミストの予想は怪しかったということになりそうです。
ちなみに昨年の4月の現金給与総額は0.8%の増加、5月の現金給与総額は2.9%の増加、6月は2.3%の増加となっていまして、昨年と比べると、実質賃金プラスへと散々騒いでいた割には、今年の5月の伸び率は低くも見えますね。
それと今回の数値は速報値なのですが、前月公表された4月の速報値では、現金給与総額が2.1%の増加と出ていたものが、確報値で1.6%の増加と一気に下方修正されていましたので、今回の速報値も変わる可能性があります。
上方修正してくれると良いのですが、なんだか下方修正されそうな流れになっていまして、余り期待はできないところですかね。
あと結構知られていないのですが、基本給などを引き上げた場合には、社会保険での手続きが必要になる場合もありますので、注意が必要ですね。
*それにしても、当たり前のように消費者物価指数が3%の上昇を示すようになったのですから、労働者の給与にしても、フリーランスの報酬にしても、据え置きにすること自体が実質上賃下げしているように映ってきてしまうということにもなってきていますね。
実質賃金はマイナスでも、全体での給与自体は上昇はしていますので、賃上げしないというだけで、従業員が退職していくリスクが増えていく環境になっているということでもあります。
労働組合を結成して賃上げの団体交渉を求めてくるようなことならばまだいいですが、ある日突然一斉に退職されたりしないようにしないといけませんね。