レーシングドライバー井原慶子のおもいっきり行こう! -142ページ目

2013 WEC 世界耐久選手権レース報告

2013 WECドライバーズランキング 22

FIA選手権女性として世界最高位


(ベルギー大会9位、ルマン24時間レースリタイア、ブラジル大会5位、日本大会レース中止、上海大会6位、バーレーン大会5位)







~共同通信配信エッセイより~


21時、砂漠の中から6時間耐久レースのゴールを表す無数の花火が上がった。ヘルメットの中で涙が出た。あまりにも苦難が続いたこの2年。多くの方々の協力とやり遂げたい!という気持ちだけで前に進み、世界耐久選手権参戦2年目の最終戦バーレーンで自己最高リザルトの総合7位、LMP2クラス5位に入賞した。ドライバーズランキングでも22位になり、女性としては世界最高位となった。



ここまで到達するのにはレース以外でも命を削るような日々が続いた。6月のルマン24時間レースではマシンが修復不可能となり、所属チームが途中撤退を決めた。私はレーサーとしてのシートを失い、夏中移籍チームやスポンサーを探し歩いた。8月末に幸運にもトップチームに声をかけてもらい、9月のブラジル戦から新チームのスタッフと少しずつ絆を深め、最終戦を迎えた。



決勝スタート直後、多重クラッシュで目の前のマシンが浮き上がる中を潜り抜け9位から6位に浮上。先が見えない時速270キロで曲がるコーナーの先には油田から吹き出す大きな炎。風圧で飛んでくる砂漠の砂が、刻々と路面コンディションを変化させる。私は他車とバトルしながらも無線で運転感覚をエンジニアに伝え、エンジニアがデーターを分析してマシンセッティングの変更を連絡してくる。それを元に直線走行時にハンドル上のボタンで車の設定を変える。時速300キロで走行中もチームスタッフと以心伝心。そしてそれが私とマシンの人車一体感を作り上げ、5位入賞した!



人と人との絆が生み出す大きなパワーが、国籍、性別、年齢、不況など多くの壁を乗り越えさせてくれたシーズンだった。



1年間応援ありがとうございました!



井原 慶子