多くの知人友人達の理解と協力で1年前から始めた『阪神間モダニズム復活の会』
こんなテーマでスタートしました。

《心のお洒落を致しませんか?
人間に必要な衣食住と文化芸術を楽しみ、より良いライフスタイルや教育環境が作れるようなグループにいたしませんか?
それぞれの分野でご活躍の方々なのでそれぞれのご提案やイヴェントもご紹介ください。
知的に議論や会話の出来そうなお友達もご紹介ください。》

戦前には存在していたサロン文化が出来て来そうな予感のする集まりになって来ました。
とても雰囲気の良い方々がお越し下さり、嬉しい事です。
この1年の様子です。
今夜は神戸初の素敵なシンガー、三好由美さんの歌で楽しみます。



私の最後の蘊蓄になりました。
ピアノを販売するなら出来るだけ多くのメーカーを見てやろうと決心しで出会って来たピアノも多く有ります。今は無いピアノメーカーの物も見て来ましたが当然まだ会った事の無いピアノも数多くあります。
1979年、日本のピアノ生産量は世界最高で31万台製造していました。
現在は2万台を切っています。
世界最大の生産国が中国なのは当然で日本のメーカーも工場を持っています。
はっきりとした数字は不明ですが、中国全土で公称40万台以上と言われています。
中国の生産量のナンバー1と2は国営のメーカーです。
日本のメーカーもインドネシアやベトナムにも進出し製造していますが、製品は甚だお粗末な出来のものでお薦めし難いです。
中国製のピアノも全体を見るとお薦めし難い状況ですが、あるメーカー(民営)はドイツのメーカーを買収しドイツから部品を運びドイツ人技術者の元に設計通り組み立てている物が有り、これは出色の出来です。ここにはヤマハ、カワイの優秀な技術者が定年後スカウトされて働いています。日独中共同開発ですね。
私が実際に出逢ったオーナー社長で最高のピアノを作りたいという信念を持って製造しているのは、このメーカーとイタリアのFAZIOLIの社長の2人くらいしか思い付きません。
楽器全般に言えるのですが、何処から良い物が出て来るかは流動的です。ピアノ選びは有名ブランドで選ぶのでは無く、ピアニストが弾いてみて良いと感じた物が良いピアノなのでしょうね。
この数年、ピアノの響版に最適なヨーロピアンスプルースと云う木がヨーロッパで枯渇しているらしいと聞きました。すでに名器と言われるメーカーでも北米のシトカスプルースに転換している所も有ります。
これからはあくまで私の推察ですから確証ではありません。
ヨーロッパが東西に分かれていた冷戦時代、東ヨーロッパは今の中国の様に噴煙をまき散らしていました。それによる酸性雨がヨーロッパの森林を破壊して行った事は記憶されている方もいると思います。
ピアノの響版は雪の降る満月に切り出されていました。最も含水量の大きい時を選んで伐採し河に沈め実際に使用されるのが40年から50年後です。丁度、ヨーロッパの森が崩壊して行った頃です。
その影響が楽器にも出て来たのだと私は推察しています。
もし私の推察が当たっていれば、これからしばらくはピアノの音は名器と言われた時代とは異なるでしょうね。
現在、ベーゼンドルファー、FAZIOLIはヨーロピアンスプルースを使用していますが価格は上昇の一途をたどる事は必定です。
名器と言われるピアノを購入したいと思われている方は早急にされる事もお考えになる方が良いかと思われます。
さらに日本では最近電子ピアノの電子と云う言葉が消えてピアのと言われて来ています。これは暴言です。
電子ピアノはピアノと違い、ほとんど倍音は存在しません。特に自然倍音が存在しないのでハーモニーとして音が交わりません。ご存知の様にオクターブは円周率のごとく割り切れません。従って1オクターブを12の鍵盤で配置する事はかなり無理の中での妥協点です。本来、和音が混ざるはずが無いのを自然倍音がカバーしています。電子ピアノでは全く不可能な事です。
しかも音の聞こえる方向もスピーカーから一定方向のみ、ピアノは左右鍵盤が遠くなれば僅かですが音は遠ざかります。それを自然と感知しています。
デジタル音が出て来て以来、人はスピーカーから一定方向で聴き、CDに代表される様に上は2万ヘルツ以上、下は20ヘルツ以下の音の無い音楽を聴いています。昔のSP、LPにはもっと上の周波数の倍音が録音されており、同じ曲をLPとCDで聞き比べると愕然とします。
家の中で聞くものの大半がデジタル音源です。その影響が耳の発達障害に繋がっている事は音楽療法学会の調査で判明していますが、100%の確率で子供に症状が出ていないのでマスコミも報道していません。
音の方向性と高次倍音を感知出来ないのです。
耳の悪い人はスポーツも上達出来ません。もの作りでも活躍は不可能です。
耳は大切です。
ピアノを得意としている楽器屋なので少し蘊蓄を。
ピアノはメーカーによりものすごく格差もあり、また同じメーカーでも時代により楽器の出来映えは異なります。
それはその時代に素晴らしい技術者がいたか?メーカーのオーナーがピアノ作りに情熱を持っているか?
それが最大のポイントです。
名器と言われるスタインウエイ、ベーゼンドルファーは機種のモデルチェンジは基本有りません。日本のメーカーは常にモデルチェンジをして価格改定をしています。前よりも寸断に良くなったと毎回言っています。以前はどれだけ悪かったのかと疑います。しかし以前の方が現実は良いものが多い。その昔、スタインウエイも85鍵等々、現行のモデルとは異なる機種も有りましたが今は有りません。
この名器と言われるピアノは20世紀に出現して来た偉大なピアニストの若き時代に若き技術者とお互いに刺激を与えながら切磋琢磨して作られたと想像出来ます。
今ではそのような事は無いと思います。
イタリアのFAZIOLIはチッコリーニやアンジェラ・ヒューイットのアドバイスも受けて製造されている様ですが、他のメーカーは聞きません。
良いピアノはレスポンスが良いので、調律した技術者が変わると解ります。
そのセンスの優劣も恐ろしいほど解ってしまいます。
この何年間の間にスタインウエイは5回会社が売却されており、ベゼンドルファーも3回目でヤマハが親会社になっています。
匠の精神が残っているのか一抹の不安を持っているのは私だけではないと思います。