先週末、待望の小沼ようすけトリオのライヴ。

例えばこんなエピソード。

公演後、後ろの座席から聞こえてきた女性の声。
「何これ、すごい。ちょっと抜け殻になっちゃったみたいで立てないんだけど…」
言葉だけでも相当にエロいのだが、とにかく彼女の言葉に激しく共感した私がそれとなく振り向くと、ちょっとワケアリ風の男女で、男はオッサン、女性はまあ若いのだろうがマスクしていてようわからん。妙齢で、はすっぱな感じだったか。オッサンはうすら笑いで、この後のことしか考えていない様子。

その時彼女に言えなかったことを今叫ぼう。
「そうなんだよ、キミ。最高のライヴはね、どんなセックスよりも気持ち良いんだよ。わかったら早くこっちに来なさい。」

ホント叫ばなくてよかったわ。

手漕ぎボート乗るじゃん、漕がないでいると水がチャポチャポ音立てるじゃん、そういう雰囲気の中で、時にクールに、時に激しく…ね。

小沼くんがグアドループの音楽にハマってもう久しいが、たぶんこういうライヴは、ロックもジャズもまったくわからない、いや音楽なんてめったに聴かない、いまそこを歩いていただけの人を無理やり連れ込んだとしても、老若男女感動せしめる力を持った演奏だと思う。

小沼くんなら私だって抱かれたいし、にしてもカイ・ペティート。変態ギタリストとか、変な評価をされがちな天才ではあるが、生で観るとそのテクは想像以上の変態で、もう最高でした。パーカスの岩原さんに至っては、もう右足が鈴で覆われていてあれじゃ貧乏揺すりもできねえなあ、とか思った。

Jam-Kaで踊りたかったなあ。

そういえば隣、といっても1つ空けた隣なんだけれど、私よりもやや老いた先輩か、足や手でリズム取ってんのはいいけど、この3人の超絶複雑なリズムに合うわけもなく、邪魔クサいんで横目で軽く刺してボートから落としてあげたわ。でもとっても人の良さそうなお方で、最後まで船べりにつかまって、めけずに自らチャポチャポ気持ちよさそうにグルーヴしていたんで、結果OKっす。

てか老若男女、みんなOKっす。

さて、しばらく余韻に浸ってから振り向けば、先刻の彼女いないやん。
お前、全然立てるやん。

でも、もう一度言おう。
「最高のライヴはね、どんな……」