イメージ 1久しぶりに「幻化」を読んだ。
 
冒頭の飛行機から、ラストの阿蘇火口まで、全部いい。
この作品を残してまもなく梅崎さんはなくなる。
「幻化」を残して、作家として完結した感じがする。
 
この「幻化」を下敷きにした大人の恋愛小説があることは意外と知られていないのでは。
 
日和聡子という女流詩人の書いた小説で「火の旅」。
 
「幻化」自体が一般的にはもうあまり読まれなくなった今、その「幻化」に材を取り、「幻化」を読んでいなければちょっと入りこめないともいえる作品を発表する気概に恐れ入った。
あまりにもマニアな作品。
商業主義とはほど遠いけれど、梅崎文学への作者のあつい思いと、出版社の英断に敬意を表す。
 
「火の旅」、もちろん私は面白く読んだ。「幻化」を読んでいない人には、はっきり言って勧めませんが…。
 
日和さんは私より十歳くらい年下のようだが、その若さで梅崎春生にかかずらってしまったのだなぁ。
同類として、非常に親近感を覚えるし、私より若い人でそういう人がいることが、とてもうれしい。