夢は朧であるが故 物語の輪郭はいつも曖昧だ
しかし本能には 自身よりもずっと忠実で
欲望を時折、鮮明に写す
 
壊してしまいたい
暴いてしまいたい
粘膜に触れてみたい
骨格を探るように指を沿わせてみたい
その頬に少し乱暴に歯を立ててみたい 
その手が隠す恥じらいを引き剥がしてみたい
あぁ 何度も 何度も 
寝ても覚めても 夢の中だけじゃなく
今この瞬間も
欲しくて欲しくてたまらない
 

まるで僕は 手綱を解かれた獣のように
色情を喚き散らすのです



あぁ、囁きをもっと 欲しがる耳元へ
台詞より 濡れた吐息を

あぁ、探りたいのは 昨日の嘘じゃなく
その指の下の 君の味

手招くリアルを避けるように
不安な体温を擦り合わせ
悲鳴とよく似た声の歌が欲しくなって
レコードに針を落とす

慰めの言葉をいくつも重ねて 隙間を埋め合わせるより
出来る限り 強く締め上げ 終らせて
途切れない鼓動 朝まで数えて
その胸に 沈み込めるまで
「ここに消えたいと」と口吟む

触れ合う箇所が痙攣起こし
触れ合う箇所がひどく濡れてる
触れない箇所がやけに寂しい
触れない箇所が乾いてしまう
触れ合う箇所で血が暴れだし
触れ合う度に命吐き出す
何度も触れて
何度も触れて
何度も触れて

慰めの言葉をいくつも重ねて 隙間を埋め合わせるより
出来る限り 強く締め上げ 終らせて
途切れない鼓動 朝まで数えて
その胸に 沈み込めるまで
「ここに消えたいと」と口吟む

口吟む…