今の仕事が突然なくなったら、あなたはどうなるのでしょうか?家族の生活費、ローンの支払い、日常の生活費をどうやって賄うのでしょうか?今まで築き上げてきたキャリアが一瞬で無に帰し、再就職の厳しい現実に直面するかもしれません。

職を失った場合、次に何をするのか、どこで働くのか、収入はどうなるのか、すべてが不透明です。年齢を重ねるごとに新しい仕事を見つけるのはさらに難しくなるかもしれません。社会が急速に変化していく中で、必要とされるスキルも変わり続けています。自分のスキルが時代遅れになり、他に何のスキルも持っていないとしたら、再び雇用される可能性はますます低くなるでしょう。

こうした不確実な未来に直面したとき、あなたはどうやって自分と家族を守るのでしょうか?経済的な不安が日々の生活に影を落とし、ストレスや不安が増大することが考えられます。失業保険や貯金があるとしても、それがいつまでも続くわけではありません。

みなさんの不安を煽ってしまいましたが、決してこれは単なる空想や遠い未来の話ではありません。実際に、今この瞬間にも、私たちが直面する可能性がある現実です。

物事を考える時のコツの一つは極端な例で考えることです。医者を例にして考えてみましょう。医者という職業は、社会における非常に重要な役割を担っており、そのために高い安定性を誇っています。人々の健康と命を守るという責任を持つ医者は、どんな時代や社会状況においても常に必要とされる存在です。技術の進歩や経済の変動がどれほど激しくとも、医療のニーズはなくなることがありません。このように高い安定性を持つ医者がこれから先、職を失うケースを考えてみましょう。

AIや自動化技術は、特定の医療業務を効率化し、精度を向上させることができるため、医療分野において大きな影響を与える可能性があります。AIは、画像診断やデータ解析などの分野で非常に有用です。例えば、放射線画像の分析や病理検査結果の解釈において、AIは医者よりも速く、場合によっては精度の高い診断を行うことができます。また、患者データの解析やパターン認識を通じて、病気の早期発見や予測を支援することも可能です。

またこれはこの先さらに加速していきます。ソフトバンクグループの孫社長は講演で、急速に成長するChatGPTなどの生成AIはすでに医師免許試験に合格するレベルにあり、10年以内に人間の英知を抜いてしまうと明言しました。

加速度的に進化するAIには知識において、例え知識人とされる医者ですら到底敵わない未来がもうすぐくる可能性が大いにあります。

しかし、医者の役割は単にデータを分析して診断を下すだけではありません。医者は、患者とのコミュニケーション、共感、倫理的判断、複雑な治療計画の立案など、多くの人間的な要素を含んでいます。人間にしかできない部分があり、その点があるから医者の仕事はなくならないという人もいるでしょう。しかし本当にそうでしょうか。

今挙げた多くの人間的な要素は人間が生まれつき持っているものではありません。ではどのようにして私たちはそれを身につけたのか。答えは一つしかありません。インプットです。ここでいうインプットは机の上で勉強して獲得するといった狭義のインプットではありません。人間関係や日常生活、その他さまざまな経験を通して行うものです。そのインプットを通じて私たちは人間的な要素を獲得し、コミュニケーション、共感、倫理的判断などをすることが可能になったのです。人間特有なものだと思うものでさえ、インプットの集合体なのですから、自己学習を圧倒的に速いスピードで行うことができるAIは将来的にそれすらも人間を上回ることでしょう。人間よりもより公平で客観的で共感的で偏見がない倫理的判断をすることが可能になるでしょう。そうなった場合、ただでさえ知識で負けている医者はAIに太刀打ちできないことは日を見るより明らかです。

もちろん以上のシナリオは極端なものになっていて必ずしもそうなるとは限りません。しかし現実に仕事がAIに置き換えられるつつあるこの現代でこのことはみなさんの想像力の範疇を遥かに超えるものではありません。

医者だけではありません。看護師、薬剤師、公務員、教師、弁護士、会計士、税理士、エンジニア、政治家などその他すべての職業においても同様のことが当てはまります。

このような社会になった時私たちはどのように生活しなければならないのか。そして私たち人間とは一体なんなのか。人間とはインプットした情報を元に必然的な行動や思考をする生き物に過ぎないのか。
その答えを知るためにAIに頼ってみることにする。