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雷親父が死んだ 二

住宅街の道路で、サッカーを弟としていた。

ふとその時の事を思い出した。

弟は小学4年生で、僕は6年生だった。

4号のサッカーボールをインサイドでしっかりトラップし、上手い位置に止め、蹴りだす。

時にはダイレクトパスもする。

それは適当にやりたいようにやる。

弟は僕を真似をして、僕がダイレクトで蹴れば、ダイレクトで、トラップをすればトラップをし、パスをした。

それはいまでも似たようなものだなと、懐かしく思う。

晴れた空の下、家の前の森は、風で気持ち良く揺れていた。

青々と瑞々しく繁った葉は、木漏れ日を落とし、良い塩梅に涼しくする。

森の中にいれば。

アスファルトに照り返された道路上は靴底のゴムが溶けてしまいそうなほどだった。

弟は汗を淋漓させながら、一生懸命に練習している。



少し強くボールを蹴った。

それは意識した訳ではなく、偶々強く蹴ってしまった。

弟はそれをダイレクトで蹴り返そうとした。

そのボールは思いもよらぬ方へ飛んでいき、危うく車にぶつかりそうになった。

その時、その車が止まっている家から人が出てきた。

「コラ!なにした?」と怒号を上げる。

「何もしていません」と僕は言った。

「嘘を言え!お前らいつもサッカーして、ぶつけただろ?」と聞く耳を持とうとはしない。

「ぶつけてないです」

「だいたいな、こんな道路でサッカーしている奴がどこにいるんだ?」他の子も道路でサッカーをしているのを知ってはいたが、それが良い事か悪い事かと聞かれたら、答えづらく、黙ってしまった。

「弟か?ぶつけただろ?」

「ぶつけてないです」と本当の事を言う。

「前もぶつけられたんだ」

「ぶつけたの?」と弟に聞く。

首を振る。

「ぶつけてないって言ってる」

「嘘だ」

「いや、ぶつけてないって言ってるよ。ぶつけてないんだよね?」

「ぶつけてない」と弟は言う。

「いやぶつけたから」

「ぶつけてないんだ!」と僕は怒って家に入ってしまった。