瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の
われても末に あはむとぞ思ふ
昔、父や兄と遊んだ百人一首。
いつも私が負けてたし全然覚えられなかったけど一首だけ印象に残っていた歌。
幼かった私は意味など知る由もなく、語感の心地よさが好きだった。
それが数十年経って、まさか我が子への思慕の歌になるなんて。
あの日投げ出された激しい流れの中、今は時々穏やかな波の時もあって、かと思えば飲み込まれてしまうほどの激流が襲ってくる時もある。浮かび上がるなんてもう無理だとすべて諦めてしまいたい時も。
なんでもっと早く気づけなかったんだろう。
なぜもっと伝えなかったんだろう。
あの子の頬を撫でて、大好きだよって伝えたい。
もう叶わない…。
それでも情けなくても胸を掻きむしりながらでも生き切って、私の流れが止まる時、そこには焦がれ続けたあの子がいるんだ。
21歳のままのあの子が少し照れたような、記憶の中と同じ笑顔で手を差し伸べてくれる…。
唯一思い描ける未来。
君の話をたくさん聞きたいよ。
もう一度会えたら、伝えられなかった思いを伝えよう、今度こそ。
われても末にあはむとぞ思ふ…
かならず会えるよね…。
