パンフレットなのか本なのか分からない本を送っていただいた訳ですが、せらら工房について理解が進んだので内容は良かったと思います。

そして、積みレンガ構造に非常に興味を持つようになりました。

特に構造面で聞きたいことがたくさんあります。

早速、お話を伺いに行ってきました。

これが本社の建物で、レンガ積みの施工第一号だそうです。

入ると、爽やかなお兄さんが迎えてくださいました。

後で名刺を確認したところ、なんと代表取締役だったようです。

工務店は社長自らよく働くようで、頭が下がります。

雑談を交えながら、よく話をしました。

お兄さんも私と同様に最近お子さんが生まれたようで子供の話が三分の一を占めていたような気がしますが、日経ホームビルダーでも建て主のことを理解する必要があると書いてありましたし、おそらく半分くらいはそういった目的もあるのでしょう。

聞きたかったことは以下の通りです。

①基礎コンクリに塗る液体ガラスについて

送られた本には、液体ガラスを塗布することで鉄筋コンクリートの寿命が大幅に伸びると書いてありました。

眉唾かもしれませんが、それでも鉄筋コンクリートの中性化を遅らせることができるのであれば非常に興味があります。

この件について聞いたところ「親会社の近代ホームに関しては採用されているが、積みレンガ専門のせらら工房では採用していない」とのことでした。

というのも、積みレンガで殆ど基礎コンクリの側面が隠れてしまうので、中性化の原因である雨や紫外線を遮断できるため不要と判断し採用していないそうです。

また、コンクリート強度は26N/mm^2ですので、事実上24N/mm^2ですから計画供与期間は「標準」の60年以上です。

レンガが「100年持つ」と謳っているのと比較すると基礎の耐久年数が短いのでは？と質問しましたが「あくまで最低60年であり、上記の効果で寿命は伸びているので問題ないと考えている」との事でした。

②積みレンガ内部の鉄筋について

本には、積みレンガ内部には鉄筋が入っているため耐震性が確保されていると記載されていました。

しかし、鉄筋を覆うのはレンガを除くとモルタルです。

レンガと同じ70mm厚のモルタル中央に鉄筋があると考えると、過大に見積もってもかぶり厚が35mmしかありません。

確かにJASS5の規定では構造壁以外の壁面に関してはかぶり厚は20mmで問題ありませんが、外壁が隣家に倒壊するのは嫌です。

これについては何か対策をしているのか？という質問をしました。

「確かに以前は構造壁でないという理由で鉄を使っていたが、かぶり厚の問題もあるため今はステンレスを採用している」

ステンレスであればモルタルの中性化が鉄筋まで及んでも腐食にも強く、またひっぱり強度も鉄と大差ありませんから、問題なさそうです。

ステンレスであっても、モルタルに対する食いつきも問題ないと判断しているようでした。

③メンテナンス性について

シロアリ対策には絶対はありません。

ヒノキであってもそれしかなければシロアリは食べてしまいますし、少々であればコンクリートにすら穴を開けてしまいます。

ですので、シロアリを少しでも早く発見できるようにするのが一番の対策であると考えています。

これについて質問しました。

「土台はヒノキであるので、シロアリには食われにくいもの」

「基礎コンクリの下、床下、土台や柱も1mまでの高さに全てホウ酸で対策している」

対策はよく分かりました。

では万が一食われたらどう対策するのでしょうか。

外壁のレンガを剥がすのも一苦労なので、土台の入れ替えや壁の補修は難しいのではないでしょうか。

「レンガを全部剥がすのではなく、一部はつって、土台を入れ替えられるスペースだけ穴を開ける。その後、モルタルを埋め込んだレンガをはめ込むやり方がある。強度的にも問題ない」

「外から構造材がさわれない場合も、室内側から補修する場合もある」

「床下は必ず人が入れるスペースは確保されるので、点検は可能」

これは、納得できました。

最後に、外壁に使われる透湿シート「タイベックシルバー」の耐久性についてです。

レンガ外壁に阻まれる為におそらく交換はできないでしょう。

それについて質問すると「十数年経った家の外壁を剥がしたことがあるが、そこのタイベックシルバーは新品同様であった。少なくとも数十年で劣化するものではないと考えている」との回答です。

全ての質問にきっちりと回答が返ってくるのが素晴らしいです。

④全館空調について

せらら工房の親会社の近代ホームでは、FHアライアンスに加入しています。

どういう意味かというと、一台のエアコンで全館空調システムが実現できる「MaHAtシステム」が施工できるという意味です。

全館空調ではダクト内のホコリが心配ですが、それについてはどのように対策しているのか、と尋ねました。

「ダクト内のホコリは言う通りで、その問題があるので積極的にはお勧めしていない。標準仕様にするつもりで導入を始めたが、そういった理由でうちでは今まで五軒程度しか導入事例がない」と回答されました。

年間35万円もライセンス料を払っているのに積極的に推していないのは勿体無いですが、きちんと顧客のニーズを拾って提案をしているようです。

また、全館空調であっても床暖房の採用をお勧めされたので、床暖房のトラブルに関しても聞きました。

重量物を床に落とした際の破損、また、それに伴う水漏れについてです。

「床とホースの間には遊びがあるので、床が凹む程度に物が落ちても破損はないと思う。水漏れは接合部で可能性があるが、水の出入り口の二箇所のみであり対応はしやすい」という事で、床暖房にも興味が出てきました。

⑤価格について

大事なポイントです。

3000万円、最大でも3500万円で考えているが可能なものかどうか聞きました。

今まで平屋にこだわってきましたが、総レンガであれば総二階でも見た目が美しくなるため我慢できます。

総二階40坪程度で伝えました。

「坪60万円程度なので、上物は2400万円程度が目安になる。オプションや外構で1000万円ほど乗ると考えると、予算内には収まる」

「詳細な見積もりはできるが、全てコストがかかることなので無料ではやっていない。地盤調査費10万円を払って貰えば、調査結果をもとにしてきちんと見積もりは出せる」

「勿論いろいろと納得いくまで他社も見比べて、うちを選んで欲しい」

価格も納得です。

話し合いがお昼近くになると、なんと軽食まで出てきました。

大手HMと何もかも違います。

食事をしながら、聞き忘れたことも次々に思い出します。

今回は、積み方を適当にすることで安くなるプランがあることを思い出しました。

それについても確認します。

「お試しでやっていて、うまくいきそうならレギュラー商品化しようと思っている。今のところ二つ採用例がある。新築のうちから新築らしくないので建て主はかなり満足していた」

新築らしくない新築とは、とても憧れます。

そして、妻が「外構をDIYしてコストカットするのはどうか」と言っていたことを思い出しました。

それについても尋ねます。

「アリだと思う。ブロック塀などは建て主はできないのでこちらで施工し、その表面にスライスレンガを貼るようなDIYをする建て主もいた。家も育ってゆく物なので、趣味の一つとしてやって頂ければ」

「敷きレンガや石畳程度であれば、建て主のDIYで可能」

「レンガを割るときに端材が必ず出るため、こちらも処分にコストがかかる。そのためそれを砕いてレンガチップにし、希望する建て主には輸送費だけ頂いてお渡ししている」

外構のDIYに対して手助けまでしてくださる始末です。

コスト面もなんとかなりそうな気がします。

⑥話し合いを終えて

構造、コスト、考え方など想定以上に好印象です。

あとは妻がレンガの外観を気にいるかどうかです。

妻は、いくら言葉で説明してもやはり想定外の事に対してはよく分からない顔をします。

やはり、百聞は一見にしかずです。

「体験宿泊も興味があります。ご迷惑でなければ、暖かくなってくる前にやりたいのですが」

こんな急な要望にもきちんと対応してくださいました。

という訳で、次回は体験宿泊です。

妻が気に入ってくれるといいのですが。

続く

HM選定 せらら工房 その1 本社でお話

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