叔母が脳梗塞で倒れた。
もう３週間ほど前。
ずっと入院している。
一人暮らしだった叔母の家に、母と出かけた。
２，３の用事をすましてポストに溜まった郵便物を持ち帰ろうとしたところへ
向かいに住む住人夫婦、二人からいきなり凄い剣幕で怒られた。
叔母は救急車で運ばれたため、病気で入院したらしいとは理解しているらしく
「どこの病院に入院しているのか？」とか
「町内の役員をほったらかして、どういうつもりだ！」とか
「どこそこの誰やらに、了解を得てくれないと困る！」とか
「病気かなにか知らないけれど、いい加減なことでは困る！」とか
「もう了解はとったから、その件はもういいんだ！」とか…。
よほど、
叔母は死にかけている！
と、叫び出しそうになったが
その言葉は飲み込んで、静かにその場に土下座して、おでこを砂利に埋めながら
「大変申し訳ございませんでした。」を
粛々と２００回ほど繰り返した。
まだ何かほざいていたが、そのうち
「もう、いいです！いいって言ってるでしょ！」を
しばらく繰り返した後
そのおばさんはどこかへ消えた。
まあ向かいの家に戻ったのだろうけど、土下座中でよくわからない。
あの人が、少なくても今日一日、いやな気分になってくれればいい。
人間ならふつう、そうだと思うからだ。
迷惑な隣人とはいえ、その妹の初対面の子供が、土下座をして謝りつづけたら、
ふつうは、自分の行為に疑問なり、他の選択肢が無かったのかを考えると思うからだ。
そう思うだけで、実際は違うけれど。
あぁ、人間は気狂いばかりだ。
私の気狂いじみた行為は、あの人の狂気とどのように呼応したんだろう？