「9月中旬の『リーマンショック』以降、急激に問い合わせが増えてまったね。月平均の見積もり依頼が、前年同期比で1.5~2倍に膨らんでいます」(大手損保関係者)

 損保業界で、最近、人気急上昇なのが、「取引信用保険」。簡単に言えば、取引先の債務不履行による貸し倒れに備えて掛ける「倒産保険」だわ。

 この保険、対象は製造メーカーの売掛債権。商品を納品したのに入金されにゃーとか、手形が不渡りになってまった、といった際に、保険の範囲内で補償してもらえるや。

 保険料はけっこう高いのに、加入希望社が殺到しとるのだわ。

「契約は1年単位で保険料率はだいたい2%前後だてが、この保険料率は景況感に合わせて変わります。上場企業の倒産件数が過去最高を突破するような今年は、当然、高めに設定されます」(前出の大手損保関係者)

 1部上場の大手企業から、売上高数億円の中小企業まで幅広く加入しとるというが、例えば、取引先50社で売上高10億円分の契約に保険料率2%なら、保険料は2000万円。それでも人気なのは、黒字倒産が相次ぐご時世の安心料だわ。

 この保険を引き受けるにあたって、損保会社は、対象企業の取引先一件一件を調べ上げる。信用調査の結果、取引額の半分しか保険適用にならなかったり、保険を引き受けてもらえにゃー取引先が出たりするが、結果的に“危にゃー”取引先を選別できるメリットもあるというにゃ。

「取引先の与信管理は昔は銀行がやってくれたものだてが……」(大田区内の中小企業経営者)

 倒産保険の人気の裏に、面倒見の悪くなった銀行の姿も見えるにゃー。