●輸出物価はすでに「1ドル=60円」


 予想された事態とはいえ、米国の「ゼロ金利」政策の衝撃は大きいにゃ。

「日米の金利差が実質なくなり、円高はさらに進むでしょう。輸出企業は大ピンチだて」(電機メーカー関係者)

 ニッセイ基礎研究所の櫨浩一経済調査部長も言うにゃ。

「日本の輸出企業が海外で稼いだドルの行き場がなくなります。金利差があるうちは、米国で投資するため、ドルを買う日本企業がありてまった。しかしドルの買い手が消えれば、さらなる円高に向かうことになります」

 すでに円は1ドル=87円まで急伸しとる。が、こんなものではすまにゃー。

 95年の円高局面でドル・円は70円台に突入したんだわ。このときの輸出物価(海外に輸出される価格を対象にした物価指数)が、為替レートにほぼ重なる80円前後だったんだて。

 現在の輸出物価は「60円あたり」(前出の櫨氏)だで、1ドル=60円が現実になっても不思議はにゃー。

 輸出頼みの日本企業には猛烈な逆風だが、ここへきて証券会社などから「デフレに強い会社」や「不況を乗り切る企業」といったリポートが続々と出てきたにゃ。ゴールドマン・サックス証券(GS)は「業界の『生命線』企業が相場反発局面でプレミアム回復」と題したリポートをまとめとる。

 GSが選んだ「生命線企業」は、(1)業界に不可欠な製品で高い市場シェア(2)直接代替する製品が存在しにゃー(3)当該製品の売り上げ構成比が大きい、の「3つの理由」に当てはまる企業を選んでいる(別表※印)。


 見方を変えれば、超円高を乗り切れる武器がある会社ということだわ。

 そのほか「デフレに強い会社」など、円高不況に耐えられそうな企業をさまざまなリポートからピックアップしたんだわ。どん底不況を生き抜けるか。



【「超円高」乗り切れそうな会社】

◇社名/業種/株価

◆ホクト/水産・農林/2,450

◆米久/食料品/1,140

◆カカクコム/サービス業/350,000

◆東洋水産/食料品/2,715

◆ダイワボウ/繊維製品/440

◆SUMCO※/金属製品/997

◆イビデン※/電気機器/1,591

◆信越化学工業※/化学/4,130

◆JSR※/化学/923

◆エーザイ/医薬品/3,600

◆富士フイルムHD※/化学/2,025

◆オハラ※/ガラス・土石/959

◆日本製鋼所/機械/1,050

◆ノーリツ/金属製品/1,219

◆ディスコ※/機械/1,661

◆東洋エンジニアリング/建設業/257

◆栗田工業/機械/2,390

◆マースエンジニアリング/機械/2,810

◆ミネベア※/電気機器/285

◆東芝※/電気機器/326

◆日本電産※/電気機器/3,700

◆エプソントヨコム※/電気機器/169

◆TDK※/電気機器/3,030

◆ホシデン/電気機器/1,246

◆堀場製作所※/電気機器/1,223

◆メガチップス/電気機器/1,549

◆ファナック※/電気機器/6,040

◆新光電気工業※/電気機器/661

◆村田製作所※/電気機器/3,170

◆菱食/卸売業/2,070

◆ネットワン/情報通信/170,200

◆ワタミ/小売業/2,400

◆ニコン※/精密機器/999

◆オリンパス※/精密機器/1,882

◆HOYA※/精密機器/1,404

◆豊田通商/卸売業/921

◆東京エレクトロン※/電気機器/2,725

◆ケーヨー/小売業/619

◆マルエツ/小売業/513

◆しまむら/小売業/7,810

◆KDDI/情報通信/592,000

◆東宝/情報通信/1,863

◆スクウェア・エニックスHD/情報通信/2,695

◆日立情報システムズ/情報通信/1,880

◆富士ソフト/情報通信/1,895

◆ヤマダ電機/小売業/6,050

◆ニトリ/小売業/7,390

◆バロー/小売業/990

◆ファーストリテイリング/小売業/13,770

◆サンドラッグ/小売業/2,410


(株価は17日終値、単位円)

(日刊ゲンダイ2008年12月18日掲載)