「ダビング10」先送り AV機器「買い控え」懸念

5月28日8時0分配信 産経新聞


 ■家電メーカー、五輪商戦にじりじり

 「ダビング10」の実施が先送りされる見通しとなったことで、家電メーカーの間には失望感が広がっている。すでに8月に開かれる北京五輪の商戦が本格化しているが、ダビング10問題が決着するまでデジタル機器を買い控える消費者もいるものとみられ、需要拡大の追い風になるとの期待が外された格好だ。

 ダビング10の対象製品は、主に地上デジタル放送のチューナー(受信装置)が付いたDVD、新世代DVDのハードディスク内蔵録画再生機とパソコンだ。すでに大手メーカーは、新世代DVD録画再生機を中心に、一昨年以降に発売された製品から「ダビング10」に対応できる機器を増やしているが、実際にダビング10に対応できるようにするにはソフトウエアの変更が必要となる。

 変更ソフトは放送波を通じてダウンロードするが、消費者への周知に十分な時間が必要となるため、「ダビング10実施時期の決定は一刻でも早い方がいい」としていた。

 五輪やサッカー・ワールドカップ(W杯)などのスポーツイベントは、家電メーカーにとって最大の商機。消費が低迷する中で、家電業界は北京五輪に向けてデジタル家電の需要を盛り上げるつもりでいた。

 なかでも規格争いが決着した新世代DVD録画再生機を中心に販売拡大を期待しており、新製品の投入が相次ぐ。今のところ家電量販店では、ダビング10について「客からは多少の問い合わせがある程度」(都内の大規模店)というものの、「このまま混乱が続けば市場の停滞感を招きかねない」(大手メーカー)との声も出ている。