[東京 2日 ロイター] 今週の東京株式市場は、進行するドル安/円高を嫌気し週前半は下値模索の展開になる見通しだ。米経済指標の悪化で景気減 速への不安が強まっているほか、米大手保険会社の収益悪化で信用収縮懸念も再び台頭している。円高の進行で日本の輸出企業の業績不安も出てきた。ただ、3 月入りで配当権利取りの動きも出てくるほか、前週末以降の下落過程でショートポジションもたまっているため、為替が落ち着けば週後半にはいったんリバウン ドする可能性もある。


 今週の日経平均株価の予想レンジは、1万3000円─1万3800円。



 <再び広がる信用収縮懸念>



 米市場で再びリスク警戒感が強まっている。世界最大の保険会社アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)(AIG.N: 株価 , 企業情報 , レポート ) が29日、四半期ベースで過去最大の赤字計上を明らかにしたことで米社債のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)プレミアムは上昇。マークイット・ イントラデーによると、投資適格級のCDS主要指数は、約14ベーシスポイント(bp)上昇し、約166bpとなった。指数の上昇はリスク警戒感の高まり を、低下は警戒感の後退を示す。


 さらに米経済指標も悪化。2月の米シカゴ地区購買部協会景気指数は2001年12月以来の低水準となったほか、2月の米ミシガン大学消費者信頼感指数確報値も16年ぶり低水準となった。



 バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長が28日の議会証言で米国の一部中小金融機関の破たんの可能性に言及し、いったん沈静化していた信用収 縮懸念に再び注目が集まる格好になった。米市場では「火に油を注いだ」との声が上がり、米金融保証会社(モノライン)大手がトリプルA格付けを維持できる との期待感を背景にした楽観的ムードは後退。29日のダウ工業株30種.DJIは315ドル安と急落し、シカゴ日経平均先物3月限(ドル建て)は大証終値 比255円安の1万3305円となっている。週前半はいったん下値を模索する展開が予想される。下値めどは心理的な1万3000円と2月12日安値の1万 2923円42銭が意識される見通しだ。



 <円高・原材料高のダブルパンチを懸念>


 


 ドル安が止まらないことも市場心理を悪化させている。ロイターデータによると29日の市場で、ユーロ/ドル<EUR=>は一時1. 5238ドルを付け、ユーロ導入以来の最高値を更新した。主要6通貨に対するNY商品取引所(NYBOT)ドル指数.DXYは一時、史上最安値となる 73.560を記録、ドル/円<JPY=>も103.80円と3年ぶり安値を付けた。



 円高による日本経済への影響についてはさまざまな見方があるが、現時点では「バーナンキFRB議長の議会証言発言を受けて、市場は米国経済の減速 を確信した。ドル安の流れは当面続き、それに伴う円高が国内の輸出関連を中心に企業収益を圧迫し、株安傾向となる懸念はある」(興銀第一ライフ・アセット マネジメント・シニアポートフォリオマネジャーの宮田康弘氏)と、市場で懸念を示す声が強い。


 ドル安が進行する半面、原油や金、貴金属など国際商品が高騰しており、日本の輸出企業にとっては原材料高と円高のダブルパンチになる可能性もある。



 市場関係者が注目するのが6日のECB理事会。現在の円高はドル安の裏返しであり、ユーロなどに対しての円高は対ドルに比べ進行度合いは遅い。た だ「ECB理事会で域内景気の下振れリスクなどを表明すれば、ユーロが売られユーロ/円でも円高が進み、新たな株価下押し圧力となる恐れがある」(興銀第 一ライフの宮田氏)と懸念されている。



 <為替落ち着けば週後半には買い戻しも>



 一方で、市場では1月22日の日経平均1万2572円68銭を底とみる声が多い。「1月22日の安値で過度な悲観は織り込み済みであり、株価が底 割れすることはないとみている。PBR(株価純資産倍率)などのバリューが下支えするほか、自社株買い、中東資金の流入など需給も売り一色ではなくなって いる。期末にかけては配当取りの資金も入る。3月末の日経平均は1万4700円程度を予想している」(ソシエテジェネラルアセットマネジメント・チーフエ コノミストの吉野晶雄氏)。


 28、29日の2日間で日経平均は400円超下落したが、両日とも東証1部売買代金は2兆円前半と薄く、先物主導の下落だった。「きっかけ次第で は買い戻しからリバウンドすることもあり得る」(別の準大手証券売買担当者)という。ドル安進行が一服すれば、移り気な市場センチメントだけに週後半には 悲観から楽観に変わる可能性もある。



 CIBCワールド・マーケッツのシニア為替ストラテジスト、アダム・ファジオ氏は「1月のコア個人消費支出(PCE)価格指数が予想を超えなかっ たことを受け、市場では3月18日の連邦公開市場委員会(FOMC)で0.75%利下げが行われる確率を積極的に織り込み始めた」と指摘。米大幅利下げ予 測による市場心理への影響が、ドル安から景気下支え期待にいつ変わるがポイントになる可能性がある。



 <中国全国人民代表大会のアメとムチに注目>



 5日から開幕する中国全国人民代表大会も注目を集めている。焦点は中国国内の投機熱をいかにコントロールするか。「最近下落している株価にはアメを、依然投機熱が冷めない不動産にはムチを与えるのではないか。オリンピックの年に波乱は避けたいのだろう。上海総合指数.SSEC が4000ポイントを割り込むような事態になればミニパニックが起きる可能性もあるため、対策が採られる可能性が大きい」(新光証券エクイティストラテジストの瀬川剛氏)という。



 同じく5日に開かれるOPEC定例総会にも注目が集まる。「減産しない見通しだが、燃料用油の需要が低下する春先に向けて減産しようという声が OPEC加盟国の一部からあったようだ。ドル安を背景に原油価格が高騰しており、OPECの足並みの乱れが見られるようだと原油価格が一段高となるかもし れない」(国内証券)と警戒する声もあった。



 さらに3日に2月米ISM製造業景気指数(ロイター予測49.0、前月50.7)、5日に2月米ISM非製造業景気指数(予測47.0、前月 41.9)、7日の2月米雇用統計(非農業部門の予想は3.5万人増、前月は1.7万人減)と重要経済指標の発表も相次ぐ。「これまでの統計からみて悪い 数字が出てくる可能性がある。地合いが軟調であれば売り材料として使われる」(準大手証券エクイティ部)とみられている。



 (ロイター日本語ニュース 伊賀 大記記者)



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