この春にワンルームマンションを購入、その勢い余って、ペットを飼うことにしました。広いリビングで過ごす休日の物足りなさ。勢いだけではありません。空間も余っていたのです。
パートナーに選んだのは毛足の長いメスの猫。全身フワフワの毛並みは、どこにふれてもここちよく、ぬいぐるみのようなシルエットは見ていて気分も和みます。こうしたまるまるフワフワ系のペットをモフ族と呼ぶそうです。
確かに触れてモフッ、顔をうずめてモフッという感触がたまりません。気が向いた時だけの「かまってくれよ」モードをのぞけば、気ままにくつろぐ冷めたパートナーに、積極的にからんでいるのはわたくしのようです。
一方的な日々のモフモフ攻勢に、はたして猫は、どう思っているのでしょうか? 時にはモフモフ攻勢からけだるそうに抜け出し、気づけば窓からジッと外の景色をうかがい、あくびをし、顔を延々となで、目を細めてうずくまっています。
猫だから当たり前の行動、なのかもしれません。でも、もしやスキンシップにヘキエキしていない? 外に出られなくて不満? ストレスためてない?
などと猫のご機嫌をうかがううちにすっかりわたくしのストレスがたまってしまいました。
「飼うんじゃなかった、かな……」
そうつぶやいた瞬間、インタフォンが鳴りました。もしかして……。
そうです。宅配便で届いた紫の箱。中にはやはり、メッセージカード。
中には棒や板の部品のようなもの。組み立て式のキャットタワーです。
思えば、無味乾燥な広いだけの部屋に癒しや心地よさをくれた猫に、わたくしが与えていたのは食事ぐらい。猫から見たら、やはり無味乾燥な部屋だったのかもしれません。
組み上がっていくキャットタワーに興味を示し、猫は目をランランとさせています。
仕事から帰ったわたくしを、猫は以前より積極的に出むかえてくれるようになりました。留守中は、日がな一日、飽きることなくキャットタワーで遊んでいるのでしょう。「かまってくれよ」モードも、以前にも増してゆったり感があり見ていて癒されます。
身体もしまってきたのか、モフモフ感も健康的です。さらにプラスされたわたくしの楽しみもあります。
モフモフ攻勢から抜け出した猫は、タワーにのぼると頭上から優雅に部屋を見渡しています。それを見上げるわたくし。日常生活で上を見上げることは意外に少ないもの。首をそらすのも気持ちいいし、部屋の天井の高さもあらためて実感できて心地よさが増しました。
ん? まだ見ぬ、謎の人物に「サマ」とかつけてるし。ケゲンな顔のわたくしをのぞき込みに来た猫をモフッとしながら、わたくしは天井に紫の箱の人の姿を想像してみるのでした。
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