車を走らせているとあちこちで目にするのが、道路脇に立っている葬儀を知らせるお名前の書かれた立て看板・・・。
この看板により、当店もお客様が亡くなられた事を知る場合が多いです。

そして本日も、良く知るお名前が目に留まりました・・・

たった数か月前にお作りいただいた、97歳のお客様O様です。

毎日補聴器をお使いになる生活、聞こえる生活に変わり、先日も電池をお求めいただいたばかり・・・。
悲しい事実を、突然一枚の看板で知らされたのです・・・


実はこのO様、あの第二次世界大戦のフィリピン戦から帰還された、数少ない方でした

日本軍50万人近くが戦死したとされる、あの悲惨な戦いです。

私が調整に通っている頃にも、丁度テレビの取材が来ておりました。
そんなタイミングで出会った事もあり、対応する際に少しですが、そんな貴重な戦争話も聞かせていただきました。

そして最後にはO様、その貴重な体験話が綴られた本まで私に下さったのです。
これを読ませていただき、戦争を知らない私たちには分からないO様の強い想いを知りました。


あとがきには、以下の様な話で締めくくられておりました。

「わたしは、今生きていることがとても申し訳なく思っています。多くの戦友がわたしの目の前で、苦しんで殺されました。わたしは、九死に一生を得て逃げ延びて生きているのですが、死んだ人がかわいそうで、夢に見てうなされます。兵隊だけでなく、多くの中国人も殺されました。
 (中略)
戦争はこれから絶対にやってはいけません。戦争のばからしさ、恐ろしさを知らない人が、考えなしに戦争をやる方向に国を動かすのは無責任です。私は戦争をしてきてはっきり言えます。」
O様は97歳なのに、涙を流して、苦しかった戦争のことをはなしてくださいました。
「あんた(取材者)が明日来るって言う夜は、決まって戦争の夢を見る。苦しくてうなされる。戦争のことを考えないようにしても、できないよ。」

戦争の恐ろしさ伝えられる貴重なお方が、またお一人亡くなられてしまいました・・・。

今、実にせつない気持ちでおります。

O様、本当に有難うございました。

心よりご冥福をお祈り申し上げます。