製品開発が量産フェーズへと移行し、射出成形用の「金型」やアルミ押出成形用の「ダイス」といった、高価な生産ツールへの投資を決定されたお客様から、私たちはしばしば、非常に鋭く、そして論理的な質問をいただきます。
 

それは、量産部品の見積書に記載されている「二次加工」や「追加工」といった項目についてです。
 

「多額の費用をかけて専用の金型を作ったのに、なぜさらにCNCでの加工費が別途発生するのですか?金型は、完成品をそのまま作るためのものではないのですか?」
 

これは、製造プロセスの核心に触れる、至極もっとうな疑問です。結論から申し上げますと、射出成形や押出成形といった量産技術と、CNC加工は、決して競合するものではなく、最高品質の製品を最も効率的に生み出すための、強力なパートナー、つまり「相乗効果のある関係」なのです。
 

私たちIDMockup & Precision Moldは、これら全ての加工技術に精通する統合的な製造パートナーとして、その理由を明確にご説明する責任があると考えています。本記事では、CNC加工が現代の量産プロセスにおいて果たしている、2つの重要な役割について解き明かしていきます。
 


役割1:量産を可能にする「創造主」— 金型そのものを作るCNC加工

お客様が製品の品質について考えるとき、その議論は常に、完成した個々の部品から始まります。しかし、私たち製造のプロフェッショナルは、そのさらに上流から品質を考えます。なぜなら、すべての量産部品の品質は、その部品を生み出す『金型』そのものの精度によって決定されるからです。
 

では、その精密な金型は、一体どのようにして作られるのでしょうか?その答えこそが、CNC加工です。
 

射出成形やダイカストに使用される金型は、P20やH13といった硬い工具鋼の塊から作られます。私たちの工場では、まずこの鋼材の塊を、CNCフライス加工機にセットします。そして、3D CADデータを基に、コンピュータ制御された刃物が、ミクロン単位の精度で、何十時間、時には何百時間もかけて、製品の形状を反転させたキャビティ(凹)とコア(凸)を精密に彫り込んでいきます。

さらに、シャープな角や、刃物が物理的に届かない深いリブ形状などは、CNC制御の放電加工(EDM)という技術を用いて、寸分の狂いなく仕上げられます。
 

つまり、お客様が「金型」に投資される時、その費用の大部分は、実は最高レベルのCNC加工技術と、それを操る熟練技術者のノウハウに対して支払われているのです。CNC加工は、お客様の量産プロジェクトの品質を、その誕生の瞬間から支えている、まさに「創造主」と言える存在なのです。
 


役割2:完璧な製品へと導く「仕上げの匠」— 二次加工としてのCNC

高品質な金型が完成し、いよいよ量産が始まります。射出成形や押出成形といった技術は、驚くべきスピードと効率で、製品の基本的な形状(これを「ニアネットシェイプ(最終形状に近い形状)」と呼びます)を次々と生み出していきます。
 

しかし、「ニアネットシェイプ」は、必ずしも「最終完成形状」とイコールではありません。材料の収縮や反り、金型設計上の制約など、量産プロセス固有の理由により、すべてのフィーチャー(形状や寸法)を100%完璧に仕上げることが、技術的に困難、あるいは著しく非効率な場合があります。
 

ここで、CNC加工が「仕上げの匠」として、再び登場します。
 

射出成形品・ダイカスト品への追加工

厳しい公差の達成: 例えば、モーターの軸やベアリングを圧入する穴には、±0.01mmといった非常に厳しい寸法公差が要求されることがあります。しかし、樹脂や溶融金属は、金型の中で冷え固まる際に必ず僅かに収縮します。この収縮量を完璧にコントロールすることは極めて困難です。そこで、最も賢明な製造方法は、金型ではその穴を少しだけ小さく作っておき、成形後にCNC加工で正確な最終寸法へと精密に仕上げることです。これにより、量産のスピードとCNCの精度、両方の長所を活かすことができます。
 

ねじ穴などのフィーチャー追加: 製品にねじ穴が必要な場合、金型にねじ形状を組み込むことは可能ですが、それは金型構造を非常に複雑にし、コストを押し上げ、成形サイクルを長くする原因となります。多くの場合、シンプルな穴だけを成形しておき、後工程でCNCのドリルとタップでねじを切る方が、はるかに迅速かつ経済的です。
 

完璧な平面度の確保: 防水・防塵性能が求められる製品で、Oリングなどを挟む合わせ面には、完璧な平面度が必要です。成形時のわずかな反りも許されません。このような重要な平面を、成形後にCNCフライスで軽く一度削る(フェイスミル加工)ことで、基準となる完璧な平面を創り出すことができます。
 

押出成形品への追加工

アルミニウムの押出成形は、ヒートシンクや建築用のサッシなど、長尺で均一な断面形状の製品を効率的に作るための優れた技術です。しかし、押出成形は、あくまで「断面形状」を作るプロセスです。それを機能的な部品にするためには、CNC加工が不可欠です。
 

例えば、電子機器のアルミ製シャーシを考えてみましょう。まず押出成形によって、複雑なリブを持つ「コの字型」の長尺材が作られます。しかし、これはまだ単なる材料です。この後、CNC加工によって、初めて部品としての命が吹き込まれます。
 

定寸カット: 必要な長さに精密に切断。

穴あけ・タップ加工: 基板や他の部品を取り付けるための、正確な位置への穴あけとねじ切り。

ポケット加工・切欠き加工: コネクタやスイッチを配置するための開口部や、他の部品との干渉を避けるための切欠きを加工。

このように、押出成形が効率的に複雑な断面を作り、CNCが3次元的なフィーチャーを精密に追加する。この連携こそが、高品質なアルミ製品を生み出す鍵なのです。
 


結論:プロセス全体の最適化こそが、IDMockupの価値

見積書に記載された「二次加工としてのCNC」は、決して余分なコストや、最初のプロセスの不備を示すものではありません。むしろ、それは製造パートナーが、各製造技術の長所と限界を深く理解し、製品全体の品質とコストを最適化するための、極めて専門的な製造計画を立てている証なのです。
 

私たちIDMockupでは、金型設計の初期段階から、どの部分を二次加工で仕上げるのが最も効率的かつ高品質であるかを常に考慮に入れた、統合的な製造プランをご提案します。
 

CNC加工は、量産プロセスの「創造主」であり、そして「仕上げの匠」でもあります。この両方の役割を理解することが、高品質なものづくりへの第一歩です。お客様の製品開発が次のステージに進む際、私たちIDMockupが、その複雑な製造プロセスの最適な水先案内人となることをお約束します。

 

 

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