【答申を行う宮島会長（中央）】

　上田市消防委員会（宮島武宏会長）は21日、市長からの「消防団員の報酬や定数」の諮問に対し答申を行った。

　内容は、報酬増額と災害時の出動報酬を創設し、団員定数を４２０人減の１８５０人にすることなど。

　諮問は消防庁長官から、全国の消防団員減少の一方で多発する災害、団員の負担増加している現状を踏まえ、報酬などの処遇改善の通知があったことを受けたもの。

　消防委員会では９月末から４回の審議や識者の講話などを行った。

　◆年額報酬について答申では

　・国規準を下回る団員（現在１万４２００円）を国規準と同じ３万６５００円

　・班長（現在２万３５００円）を４万円

　・部長（現在３万５７００円）を４万５０００円に見直し

　・副分団長以上は国規準より高いため据え置くとした。

　委員からは、報酬を引き上げても団員増にはつながらないという意見もあったが、団員の年額は安すぎるという指摘もあったという。

　出動報酬は、国規準で火災と風水害で１日単位８０００円としているが、上田市はこれまで無報酬で、分団に対して活動交付金を支給していた。

　出動に対して無報酬は県内19市で上田市のみだった。

　答申では、災害の出動に対して２時間未満を２０００円、２時間以上４時間未満を４０００円、４時間以上または１日を８０００円とした。

　委員からは、出動報酬は支給するべきという意見や、管理が難しい、事務が煩雑にならないよう区分は少なくなどの意見があったという。

　団員定数について、現状は29分団と本部で２２７０人。

　団員１人当たりが受け持つ人口は、分団によって大きな差があり、団員１人当たりの人口が最も多いのは第５分団の３７０人、１００人を超えているのは８の分団。

　最も少ないのは菅平分団で17人、50人以下は11の分団。

　上田市と面積や人口が類似している５つの自治体を平均すると団員定数は１６８５人。

　上田市より多いのは今治市の２３０８人、最も少ないのは栃木市で１２１６人。

　答申では、今回の見直しにあたり各分団で地域と協議していることから、変更になる場合があるとした上で、各分団に配備されている消防車両を最大限活用できる人数などから、１８５０人とした。

　分団によって状況が違うため、定数が減る分団が多いが、増える場合がある。

　委員からは、地域で協議した定数なら良いという意見、報酬増のため無活動団員は退団させていかないと理解が得られないなどの意見があったという。

◆答申の付帯意見として

　▽定数については地域の実情などを踏まえて継続的に検討

　▽団員の負担軽減の継続的な検討

　▽団員確保は行政、自治会、消防団が一体となり、市民への啓蒙、機能別消防団員の導入制度化、子どもに興味を持ってもらい適齢期になったら率先して入団する魅力ある消防団にする―など。

　土屋陽一市長に答申書を手渡した宮島会長は「委員から活発に意見をいただき答申になった。消防団の皆さんは報酬がほしくて活動しているわけでなく、公共のために行っている。報酬という（言葉）よりは、活動の費用補填的な意味合い」と話していた。

　土屋市長は「処遇改善は大事な点で全国的な動き。付帯意見もしっかり受け止めたい」と語った。

上田市消防団員定数を４２０人減。上田市消防委員会が答申を行う。報酬増額と災害時の出動報酬を創設。