- 突然ですが、私は気に入った本は何度でも読み返すタイプです。
- この本も、枕元付近に置いてあり、既に何度も読み返している1冊。
- 赤めだか/立川 談春
- ¥1,400
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実は、私は幼稚園の頃からの「落語好き」でして…
自分でも思いますが渋い!…そしておやじ!!
「落語マニア」というほどではないのですが、小学校の頃は
ラジオの「ビアホール名人会」という番組を大変楽しみにしておりました。
いつか、大人になったら観覧に行こう!と思っていたのですが
なくなってしまい、寂しい限りです…
さて、脱線してしまいましたが、この「赤めだか」は
立川一門、という落語の世界でも少しアウトロー的な存在の
(ペ●ングのCMやNHKの番組司会の立川志の輔さんが有名ですね)
一門の中でも、私が一番好きな「立川談春」さんの、修行時代の
自伝(?)という形式での随筆集、といった趣の本です。
その、すさまじい「修行時代」のエピソードの中に、談春さんが
師匠・談志に言われた言葉が、いつも胸を突かれるのです。
翌日、談春は談志と書斎で二人きりになった。突然談志が、
「お前に嫉妬とは何かを教えてやる」
と云った。
「己が努力、行動を起こさずに対象となる人間の弱味を口であげつらって、自分のレベルまで下げる行為、これを嫉妬と云うんです。一緒になって同意してくれる仲間がいれば更に自分は安定する。本来なら相手に並び、抜くための行動、生活を送ればそれで解決するんだ。しかし人間はなかなかそれができない。嫉妬している方が楽だからな。芸人なんぞそういう輩の固まりみたいなもんだ。だがそんなことで状況は何も変わらない。よく覚えとけ。現実は正解なんだ。時代が悪いの、世の中がおかしいと云ったところで仕方ない。現実は事実だ。そして現状を理解、分析してみろ。そこにはきっと、何故そうなったかという原因があるんだ。現状を認識して把握したら処理すりゃいいんだ。その行動を起こせない奴を俺の基準で馬鹿と云う」
「現実は、正解なんだ」
ああ、本当にその通りだな。
毎日を、丁寧に生きていれば「嫉妬」するヒマも、必要もない。
でも、人はなかなかそれができない。
現実は、常に過去の行動の正解なんだ。
人間、もって生まれた業からはなかなか離れられない。
読み返すたびに、わが身を振り返ってしまう、重い言葉です。
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立川談志という落語家の凄さは「人間の業」というものの凄みを
落語で伝えることができる、という点にもあります。
数年前、イデアに入ったばかりの頃。
私は耳下腺腫瘍という病気で1週間ほど入院・手術を受けたのですが
そのとき、病院にはひとりひとりに有線が完備されていて
私はここぞとばかりに、伝統芸能チャンネルで落語を視聴していました。
ある夜、消灯後。
その日は、談志師匠の「芝浜」が流れていました。
「芝浜」は有名な人情話なのですが、ここではストーリーは割愛して…
人情話なので、鑑賞後は「ああ、いい話だったなぁ」という
ほっとした安心感が残るものなんです、普通は。
談志師匠の「芝浜」は、聴くものの心を鋭く突いて、場合によってはえぐります。
人間の業を見せられ、そして最後はその業を肯定する、やさしい視点も持っている人です。
それに惚れて、弟子入りして。
惚れ抜いて、二つ目を目指し、真打になる。
常識では理解できないことの連続な修行時代のエピソードは
笑って、笑って、少しほろりとさせる、名随筆になっています。
読んで、損はしない1冊ですよ!!