⭐️総合評価

星3つ

映像美は素晴らしいが、

世界観の設定が難しいというか、矛盾が多いのが違和感

その矛盾に引っ張られて、キャラの感情もよくわからない。

 

 

⭐️映画概要

ある日突然製鉄所が爆発

世界は変わってしまった

・時が止まって成長しない

・街から出られない

 

ずっと学生のままの「キクイリマサムネ」(主人公)

イラストレーターになりたいという夢を抱いたまま、

成長できない、退屈な毎日を過ごす。

 

同級生の女子「サガミムツミ」に

工場に誘われ、秘密を教えてもらう

製鉄工場にはサガミムツミにそっくりな少女が住んでいて

ムツミが面倒をみていた

この少女は通称「イツミ」と呼ばれる

 

ある日仲の良い男女で洞窟肝試しに行く

同級生の女子に告白されるが断るマサムネ

断られた女子はショックを受け、体にひび割れが入る

煙の狼が現れ、少女を消してしまう。

 

ショックを受けた人は消えてしまうということが判明

 

その後イツミを工場から助けるマサムネ

イツミの存在が街にバレてしまい、

工場長がこの世界の現状を隠しきれずに公表

・この世界は幻

・いつか消えてしまうだろう

・イツミは現実世界の人間で、感情によってこの幻世界を壊す可能性がある

・だから工場に閉じ込めていた

 

いつか日常が戻ると工場長にすがっていた人たちは絶望する

 

ムツミとイツミはマサムネの家で暮らすことに

 

突然空間が割れて、時が経った現実のムツミと結婚している自分が現れ、

娘を失って悲しんでいるのが見える

どうやら、謎の少女イツミは自分とムツミの子供らしい

 

マサムネはムツミに告白してキスをする

それをイツミに見られてショックを受けたイツミによって、

世界にヒビが入り半壊状態に

ヒビからは現実が見える。

現実に出てしまうと、こちらの幻世界の住人は消えてしまうらしい。

 

消えてしまった父の手紙が出てくる

「この止まった世界で変わろうとする息子を見ていた、

どんどん絵が上手くなる息子を見て感心した、

列車に乗って突然現れたイツミを発見したのは自分だった

その時、私はイツミが息子の子供、つまり孫であることを知った。

でも世界が壊れるのを恐れて、工場に隠すことに賛同していた。

申し訳ない」

 

どうせ消えてしまうなら

足掻いてやろうと奮起する主人公

 

イツミを現実に戻すには、ひび割れから見える現実の

列車にイツミを乗せて、トンネルを抜けると現実に戻れるらしい

 

なんとか成功

 

多分幻の世界はそのまま時が止まったまま続く

 

現実の世界に戻ったイツミは、成長し工場に訪れる

マサムネの描いた絵をみつけて

「私の初恋の人」とつぶやく

 

工場に夕焼けが幻想的に影を作る

 

 

 

 

 

⭐️グッと来たポイント

・空や空間が割れて現実が見えたりする

煙の狼が空を走る見たことのない風景ビジュアル

・廃工場がグッド

・思春期のなんとも言えない閉塞感と未来への不安

 

・お父さんの手紙シーン

変わらない世界で変わろうとする息子

実際に成長していく息子を褒めるシーン

父の愛を感じた

 

・ラストシーン

成長したイツミが廃墟となった製鉄所に来る

製鉄所にかかる夕陽と動く影が幻想的

流れる中島みゆきの歌

 

 

 

⭐️つまらなかった所

 

・設定に矛盾がある?

ちゃんと理解できたらわかるのかもしれませんが、

しっかり見たのにわからないのは、作品のせいだということで、

 

心にショックを受けると体が砕けて煙に食われて消えてしまうらしいが、

主人公の周りでは、そうなりそうなタイミングがいくらでもあるのに、

消えたりしない

魔法でなんとかなるみたいな感覚の作者のご都合主義が見えてしまってちょっと冷めてしまう。

 

 

・設定がよくわからない

現実の世界と幻の世界、どうやって別れた?

幻の世界から出ると消えてしまうらしいけど、

物理的に街から離れたらどうなるのか

煙の狼はなんなのか

最後なんで工場を稼働させたのか

 

・ヒロインがようわからん

なぜか無駄にトゲトゲした性格、

なんで好きになったのかも謎

感情移入ができなかった

 

 

 

 

⭐️自分ならどんな話にするか

 

一番気になったのはショックを受けると消えてしまうという設定

このせいで、なんで主人公とヒロインだけ消えないのか

告って振られたら消えるのに、告って成功すれば大丈夫

みたいなよくわからないことになって冷める

そもそもこの設定は要らないのでは

 

主人公がヒロインと生きようとすると世界が壊れる

というような「世界系」の設定の方が、設定がわかりやすくて

感情移入しやすい

 

ヒロインのムツミを消す

イツミをムツミにする

現実の自分はイツミを失って悲しんでいる

イツミをこの幻の世界から救うと、幻の世界は消えてしまう

でも主人公はイツミと未来をともにするために、

世界を捨ててでも助ける

主人公も消えてしまうが、

現実の主人公と幸せにイツミは暮らして行く

 

 

 

 

⭐️まとめ

 

見たことの無い景色、廃工場のビジュアル

映像美、キャラクターデザインも素晴らしいが、

設定がご都合主義なのとキャラクターの感情もご都合主義な感じがして

感情移入できませんでした。

 

多分制作過程がこんな感じだったのでは

1、世界観のビジュアルが第一

2、思春期の鬱屈とした日常と恋愛

これを表現したくて、

ストーリーを組み立てた、

 

世界観の設定に矛盾が多くて

肝心のストーリーがご都合主義にならざる終えなくなった

キャラクターも矛盾のある設定に無理やり合うような感情の動きにさせられている

なので感情の動きに共感が出来ない

総じてご都合主義の作品になってしまった。

のでは無いか?

でも、こんな世界でも、一生懸命変わろうとしている主人公と

それを見守っていた父の手紙にはグッと来るものがあった。

色々思うことはあるが、グッと来るところも他にあり、

映像美だけでも見る価値はある