8時8分に博多駅に着く電車。
僕は毎日同じ電車の同じ車両に乗る。車両には同じく毎日同じ電車に乗る人もいて、顔を覚えている人も何人かいる。
でも朝の電車は満員なので、いつも同じ電車の人にもあまり親近感が湧かない。むしろぎゅうぎゅうな車両の中で、僕の理想の位置を先取りしてくるライバル。
でも彼女は違う。
竹下駅と博多駅の間、あと1分で博多駅に着く頃、窓から見える路地を歩く女性。彼女が見えるとあと少しで博多駅だ、と少しほっとする。
彼女もいつも同じ時間に出勤している。いつも同じ路地を歩いてるところを一方的に見ている。
昨日までジャケットを羽織っていた彼女が今朝は半袖のブラウスを着ていて暑くなってきたなと思う。
彼女は僕がこんなことを思っていることを知らないし、僕が彼女に声をかけることはない。
彼女が引っ越したり転勤したりしたら、多分ちょっと寂しい。