「がんの宣告をされたある男性が自身の人生を振り返り、

『僕の人生は取るに足らないつまらないものだった』

と言ったとする。

 

その言葉に対して

『そうでしたか、あなたの人生はつまらないものだったのですね』

と言ってしまうと、それは〝事実〟になってしまう。

 

私なら、『いやいや、そんなことはないんじゃないですか。

きっとかけがえのない人生でいらしたと思いますよ』

とありきたりのことを言って終わってしまいそうである。

 

こんなとき、清水先生は

『あなたはご自身の人生を、語るに値しない、

つまらないものだったと思っていらっしゃるのですね』

とのフレーズに変換して返す。

 

そうすると、患者さんはハッとする。

『自分の人生は、ほんとうに、取るに足らないものだったのだろうか……」

 

事実は変えられないが、〝思っていること〟や〝考えていること〟は

いくらでも変えることができる。

 

その人の人生は、その人自身の捉え方次第で、いかようにも変わるのだ。」

 

『人生でほんとうに大切なこと 

  がん専門の精神科医・清水研と患者たちの対話』エピローグより。

 

 

 

 

2017年、たくさんの幸せな出逢いと別れがありました。

 

1月、尊敬してやまない恩師が自宅でひっそりと亡くなっておられました。

胸騒ぎがして仕方なかったのに、なぜ、もう1日早く、

駆けつけなかったのだろう・・・

との後悔は、今も消えることがありません。

 

 

「人は、誰もが死を前提に生きている」

そんな当たり前のことと、向き合い続けた1年でもありました。

 

「今」は未来のためにあるのではなくて、

かけがえのない「今」を大切に重ねていきたいと思います。

 

ありがとうございました。