ZANNA を観劇してきました。
きっかけは終演後のトークショーにヨウスケが出ると聞いたからでしたが、タンク役の岡田亮輔さんも結構好きなので、ちょうどいいなと思い観劇してきました。
歌の上手な方ばかりなので、歌に関しては大満足!
とても楽しかったです。
ただストーリーが、私にはちょっと納得出来なくてですね・・・。
以下、
ネタバレ含みます。
そもそも私は恋愛物があまり好きではないので辛い点数になってしまうのかもしれません。ミュージカルは歌とダンスで自分の気持ちを誤魔化しますけど、ストレートの恋愛物は好きなキャストさんばかりでも行かなかったりするくらいで・・・。
ということで身構えていたところ、物語の序盤で主人公のザナが
「愛からうまれたものは(私たちを)何も傷つけないわ」
と言いまして。ああこういう感じの甘いお話なのか~・・・と若干げんなりしていたところ、全然甘くなくていい方向に裏切られました(笑)
ZANNAの世界は男性は男性と、女性は女性と付き合うのが常識の世界。異性愛者は異端視されています。何十年か前の外国ではそうだったようですが、迫害どころか殺されかねない雰囲気を感じました。
そんな中、ふとしたきっかけで男の子と女の子が恋に目覚めてしまうんですね。
ちなみに二人とも同性の恋人がおり、ダブルデートをするくらい四人とも仲がいい状態。「異性愛=悪」という常識の世界で、しかも男の子に関しては「僕は保守的だから~」という台詞もあったくらいなので異性愛なんて今まで一度も考えたことがなかったでしょう。
二人は恋心を自覚するものの、互いに打ち明けることなく隠し通そうとしますが、ハイになった拍子に公衆の面前でキスしてしまいバレてしまいます。
世間を巻き込んで大問題になりますが、異性愛者がいるという遠い町まで駆け落ちしようと決め、ひとまずザナに助けを求めるものの、女の子が「やっぱり耐えられない、あなたのことは忘れて私は同性愛者として生きていく」と飛び出してしまうんですね。
消沈し、彼女への思いを諦めかけた男の子に「明日のプロムに二人で来て、私が何とかするから」とザナ。
ザナは魔法が使えて、人々の恋愛の手助けをしてたんですね。なので二人のことも--というか、実はザナは男の子に片思いをしていて。大好きな彼を助けたい、という一心で危険な魔法を使ったところ、世界は180度変わり、「異性愛が普通」「同性愛は異端」になりました。
危険な魔法の見返りに、みんなは過去の世界の記憶を失い、ザナは魔法を使えなくなり、それどころか昨日まで友人だった四人でさえ一目でゲイとわかる服装・言葉遣いのザナを気味悪がる始末。
ザナは、履いていたガラスの靴を片方階段に残し、そっと立ち去りました・・・。
というお話で、
もう何なのこの鬱展開!!!????
と、途中からパニックになりかけました(笑)
本当に、最初は単に現実の同性愛と異性愛が入れ替わっただけの舞台だと思っていたんです。
ところが、主人公のザナが既に彼氏のいる男の子を好きになって(そもそもザナが二人をくっつける手助けをした)。と思ったら男の子は異性愛に目覚めるし。
更に、登場人物の皆さんが、相手が異端だとわかった瞬間に手のひらを返したような対応をするのが地味に応えます。だってそれまで仲がよい友人だったのに、最初は男の子と女の子を激しく拒絶して、世界が変わった後はザナを気色悪そうに眺めて、拒絶して。
時代設定が少し古い、とはいえ、性的指向が違うとわかっただけでここまで対応が変わる時代があったんだ・・・と改めてつきつけられると人間不信になりそうですよ。
※若干余談なのですが、私は昔クリストファー・ブラムとエドマンド・ホワイトが好きで、当時の情勢や歴史を調べていたことがあるので、かつ大学でその辺を専攻していたので、紙ベースですが人並みの知識はあります。
序盤でフーンと思った
「愛からうまれたものは何も傷つけないわ」
というザナの台詞に、中盤以降はフーンどころか「さっきああ言ったよね?本気で鬱展開にならないよね?ね?」と縋りつきたくなる始末で。
もう恋なんてしないなんて言わないよ絶対どころか、もうお友達なんて要りませんなんて言わないよ絶対状態でした。
でも!
でもですね、最後、立ち去ろうとするザナをタンクが追いかけて来まして、ザナに愛を告げたので、ものっっっっっっっっっっっすっごく救われましたー!
これがなかったらどんよりしたまま帰るところでした(笑)
タンクは本当にいいキャラでした。
で、ここまではよかったんですけれども。
その後にトークショーがありまして。ザナ役の方をはじめ、皆さんが
「ありのままの自分でいればいい」
「愛したい人を愛せる世界にしようぜベイべー!」
っと仰有ってて、下調べなしで行ったので知らなかったんですが、そもそもこの舞台のテーマがそれだったんですね。
ここから怒濤の違和感です。この二つ自体には大いに共感出来ますけれど、じゃあ何で最後、異性愛が普通の世界に変えちゃったんだろう、と思ったらもう、もやもやが止まりません。
異性愛=異端の世界ではありのままの自分でいられなかったし、愛したい人を愛せなかったんですよね。だからザナが世界を変えてあげたんですよね。
しかも当事者である異性愛の二人は大した努力をしてないんですよね。愛を諦めようとしていたし、ザナに「何とかして!」と頼んだわけでもないし、新しい世界では古い世界の記憶を失っているし。
一方でザナは魔法の力を失い、自分がマジョリティであった世界を失い、友人も失いかけ(最後和解したっぽいけど)、恋人を得はしたものの今度はザナが辛い思いをするだろうことは目に見えているわけで。
世界が変わり、ザナが恋人を得たことで大団円のハッピーエンドになったのは確かです。トークショーさえなければ観劇後も気持ちよく帰れたと思います。
でも、やっぱり納得出来ない。現実世界では、現在はマイノリティだからといって殺されることはまずないでしょうけど差別や偏見がないわけじゃなくて、でも魔法なんて使えないから当事者が自分の力でこんなにハッピーな解決を得ることなんて出来ないんですよね。
単純に同性愛をテーマにした作品ならともかく、少なから啓蒙の意図があるのだとしたら、このテーマにこのラストはどうなんだろう。同性愛問題に限らず、何かを変えようと地道な努力を続けている人が空しくなるんじゃないか、と私は感じました。
とはいえザナ役の方が「これはおとぎ話の世界だから」と仰有っていたように、現実の世界では決して有り得ないハッピーを描いたお話なのだとしたら、みんなが救われたあの結末はとても幸せなものですね。
以上!
