ぼくは東京ダート2100mのレースに対して単純な好きという感情を通り越したものを見出している。

昔はジャパンカップダートがあった距離だが、今はチャンピオンズカップに

変わってしまった。

先頭で駆け抜け、勝ち上がってもその先に同じ条件の重賞という晴れ舞台はない。

重賞すらないコースに出走する馬たちはどんな気持ちだろうか。

 

いや、「馬は走るのは好きだが、一生懸命走るのは嫌いなんだ」と

藤沢和雄元調教師がいっていたそうだが、そもそもレースに出ることすら

嫌なのかもしれない。

 

ウシュバテソーロはまさにそういう馬だった。

調教をごねる、出入り口を見つけて帰ろうとする、やる気のないパドック。

レースに出ること以前に走ることが嫌なのではとしか思えなかった。

 

そうだからこそ勝ち上がりに7戦も要したのだろう。

芝で2勝クラスまで勝ち上がったが頭打ちになり、

ダート2100の横浜ステークスに出走してから覚醒が始まった。

 

この馬は東京2100のスペシャリストになるー

競馬歴が半世紀以上の父はそう豪語して憚らなかった。

 

事実、強かった。

東京大賞典を皮切りにドバイワールドカップも勝ち、

東京2100のスペシャリストは世界No.1のダートホースになったのだった。

 

近くにいたはずがあっという間に遠く煌びやかな世界に行ってしまったような気持ちもしたが、どれだけ勝ってもやる気がなかったあたり、金色の血は争えないといったところだろう。

 

今日も僕は番組表を見つめる。

次の東京2100、スペシャリストを探して。