差出し~面明かり~
今月私がしております仕事の一つに「差出し」というものがございます。
舞踊、常磐津「将門」の傾城如月実ハ滝夜叉姫の花道の出に二人の黒衣が長い柄の付いた燭台を持ち役者を照らします。
面明かりとも申しまして古風な演出で江戸の昔から続く歌舞伎風スポットライトです。
有名な所ですと「伽羅先代萩」の床下、仁木弾正の花道の引っ込み、「吉田屋」の伊左衛門の花道の出などでも使用されます。
今回の様な変化物の作品ですと照明も暗く蝋燭の炎が役者に映り何とも言えぬ幽玄さを醸し出します。
又、照らし方により妖怪変化がふわふわと地に足のついて居ない様に見せる工夫もございます。
歌舞伎独特の素晴らしい演出の一つです。