妊娠中に使っていた「トツキトオカ」というアプリがある。
お腹の中にいる赤ちゃんの成長や”不安な気持ち”や、”生まれてくるのを楽しみにしているよ!”
といった「今の気持ち」を日記につけていた。
そして、子どもは無事に生まれた。![]()
時間はあっという間に流れ、いま息子は保育園の年長さんになった。
たぶん、多くの人にとって「トツキトオカ」は、生まれるまでのアプリなのだと思う。
妊娠中の記録をつけて、出産の日を迎えて、「ありがとう」と閉じる。そういう役割のアプリなのだと思う。
でも僕は、辞めるタイミングを失い、
毎日大したことない一言と、その日の息子の写真を添えていた。
アプリに表示される「生まれてから何日」の数字が2000日になった日。
いろんなことを思い出した。
コロナの時で出産にも立ち会えず、
生まれたばかりの頃は、2時間おきに起きて泣いて、ミルクを飲んで、寝て、また泣いて。
夫婦で眠くて、余裕がなくて、ただ目の前の一日を越えるだけで精一杯だった。
それが2000日。
歩けるようになって、しゃべれるようになって、笑い方も怒り方も、どんどん人間らしくなっていった。
あの小さかった存在が、毎日少しずつ大きくなって、気づけば2000日も一緒に過ごしていた。
僕はその画面を奥さんに見せた。
「見て。生まれてから2000日経ったんだって。すごいね」
すると奥さんは、数字よりも別のことに驚いた。
「え、まだやってるの??」
本当にびっくりした顔だった。
「これ生まれるまでの成長をつけるアプリじゃないの?」
たしかに、そうだと思う。
そのあと奥さんは、「そういうのを続けられる人って、なかなかいないよ」と褒めてくれた。
その言葉が、思っていた以上に嬉しかった。
自分では当たり前だと思っていることが、人から見ると少し違って見えることがある。
努力しているつもりもない。頑張っているつもりもない。ただ、なんとなく大事にしていたこと。
それを「続けられる力」として見てもらえたことが、とても嬉しかった。
僕は昔から、自分にすごい才能があるとはあまり思えない。
何かを一瞬で上手にできるタイプでもないし、器用に立ち回れる人間でもない。時間がかかる。遠回りもする。
でも、もしかしたら。
大事だと思ったものを、細く長く持ち続けることはできるのかもしれない。
自分には何もないと思っていたけど、
アプリの中の数字に、少しだけ自信をもらった。
そんな話でした。
