平成24年予備試験 憲法
答案構成)設問1 Aの主張:1.国民審査法15条は罷免を可とする裁判官にのみ×をつけ、罷免を可としない裁判官には何も記載しないで投票箱に入れなければならないと定める。罷免を可としない裁判官に対しては○と記載できるようにすべきなのに、それができない。憲法79条2項は裁判官の再任の制度であり、国民が審査できるとする規定。よって、法15条は憲法79条2項に反する。立法事実:最高裁の判例の頃と変わった。今は裁判員制度もある。国民が裁判官と同じように事実認定や刑罰も意見を言える。2.また、国民の思想の自由(19条)を侵害するものである。罷免を可としない裁判官に対しては○と記載できるようにすべきなのに、それができない。設問2 1.79条2項について(1)被告の主張:最高裁の判例 憲法79条3項は裁判官の解任の規定である。憲法79条2項は、国民が最高裁判所の裁判官を解任できる手段を確保したもの。国民が罷免を可としないかどうかまでは国民に保障していない。(2)私見:被告の主張に同意。たしかに、裁判員制度になり、国民が裁判に参加できるようになった。裁判官の審査についても国民が再任についての判断もできるようにするべきとも思われる。しかし、最高裁判所の裁判官は法律の解釈の役割を果たしており、これが適任かどうかは国民が明確に判断できるものでない。よって、国民審査は、解任の制度ととらえるべきである。2.19条違反について(1)被告の主張:国民審査は解任制度。思想良心の自由の内容は、適切な裁判官を選ぶ自由というより、ふさわしくない裁判官を辞めさせる自由である。侵害は生じてない。19条に反しない。(2)私見被告の主張に同意。立法事実:裁判員制度になっても、国民が裁判官と同格に裁判できるようになったわけではない。国民は裁判のプロではないし、知識もない。つまり、裁判官を継続させるかどうか判断する能力はない。よって、思想良心の自由の侵害は生じていない。