私は浮かれていた。フミヤの可愛い笑顔に送り出され。
そして楽しい時間を過ごした余韻に浸りながら。
ニタニタしながらけいちゃんのお店への道を歩いた。
店の前の路地に見覚えのあるホストが立ちはだかる。遠目から見ても手足の長い長身は目立つ。
私は焦ってフミヤの余韻を脳内からかき消した。
「いっ~っちゃんっ!みっけ♪」と凄い勢いでけいちゃんは私に抱きつく。
まるで子供がお母さんを見つけた時のような絵面だった(´・ω・`)
そのまま、お店まで誘導された。
まさか・・・三日連続でこの扉を開けるなんて思ってもみなかった。
店内は意外にも静かだった。。。
奥のほうの席に案内されて、そのまま宴は始まった。
「いっちゃんドコに居たの?」
不意をついて質問された。
「なんで?」
「お酒飲んでるよね?ドコに居たの?」
「ちょっと初回に・・・・。」
「はぁぁああ??(゚Д゚≡゚Д゚)?なんですぐに来ないのっ!」
「いやぁ、少し景気付けてから来ようかと思って・・・」
「あそお(怒)んじゃドコに行ったか名刺出してごらん」
「Σ(゚д゚lll)あっ・・・はい」
ひとしきり名刺のチェックをされた。この人はどんな感じだったかとか何話したのかとか・・・
でも、今思うと、この時にけいちゃんにおさらいされて無かったら、きっと名刺とキャストの顔が一致しなかった。
だから、おかしな話だけどけいちゃんに感謝する(笑)
そして、けいちゃんはそっと私に名刺の束を返してきた。
「まあ、色んなお店を見るのは良い事だよ。だって、俺の良さを再認識するって事でしょ♪」
「あっ・・・はい。」
「んで?送り誰にしたの?」
「この子・・・」フミヤの名刺を見せる
しばし沈黙・・・。
「俺のほうがかっこいいな?なぁ?なあ???」
「あっ・・・はい(´・_・`)」
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この日は心無しか、けいちゃんも疲れてる様だった。
私も正直疲れていた。
いくら会社が休みだとは言え・・・3日連続のがぶ飲みは身体にしんどさを与えた。
けいちゃんは、今夜もアフター行くか?と聞いてくれたけど・・・
私は明日の会社の事を思うと、さすがに帰らないといけないと告げた。
気のせいかも知れないけど、けいちゃんが少しだけ安心した顔をしたように見えた。
けいちゃんのお店に居る間。
フミヤからlineが届く。
「今日は本当にありがとう。本当に本当に嬉しかったです。またいつかお会いできますように」
私はトイレに行くと席を立ち、急いで返事を送った。
「こちらこそありがとう。またね」
トイレのドアを開けるとそこでけいちゃんがおしぼりを持って待っていた。
けいちゃんの目を見れなかった・・・
なんだかんだと時間は過ぎて閉店間際。
内勤さんが「今日のラストはけいちゃんだよ。だからいっちゃん好きな歌リクエストしちゃいなよ」
「う~ん・・・なんでもいいよ(´・_・`)」
良く考えたらけいちゃんの歌って初めて聞くなと思って、けいちゃんには「得意な歌でお願い」と伝えた。
良く耳にするバラードをけいちゃんは歌ってた。
カッコイイくせに、歌も上手いじゃねえかこの野郎っ!
お前に足りないものはなんだ?全部持ってるんじゃねえのか?こんちきちょ~
なんて心で叫びながら。私はけいちゃんの歌を聞いていましたw
そしてお会計を済ませて、けいちゃんに送り出して貰う。
扉の外へ出たら、現実に戻るんだ。今夜は帰らないといけないんだ。
少しだけしみじみしてしまった。
けいちゃんにはきっと伝わってたんだろうな。
私の手をぎゅっと握っていてくれた。
「おやすみ」「おやすみなさい」
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