太田愛の『犯罪者』を、読み終わりまして。

わたしは、この魅力的な小説に、満足したワケですが。

たとえば、どの辺にシビれたのかを、少し書いておきましょう。

タイトルからして、犯罪ミステリーだとわかるのが、この小説。

そして…

この犯罪が、冒頭で、すぐに起こるスピード感。

そこに「んんん？？？」となる、謎を犯罪に散りばめるテクニックの冴え。

しかしまあ、この犯罪小説の仕掛け。

わるく言えば、ハッタリ。

「それ… 実際にありえるかね～」と思ったりもする、華麗かつ残忍な殺しが、いきなり起こるとゆう、そのおもしろさ。

そこに尽きる。テクニック、策略。そこだけ取れば、満点。

悪の魅力があると言えます。

それに対する、善人の行動があって… ようするに善と悪が対決する構図。

善人キャラクターにも、魅力がある。

とゆうか、「この人たち、善人すぎないか？」とも思うトコロを…

作者の力業で、押さえ込む。

善とゆうか、弱い側が、巨悪に立ち向かう。

その、善の… とゆうか、事件の中心にいた、いわば真の主人公がいて。

その横に、巨悪のなかの良心と呼べるキャラクターを配する。

善人が何人も、とゆう。

巨悪、えーっと…　悪人は、だいたい５人ぐらいいたかなあ。

最終的に、そいつらがど～なったかは、ネタバレになるゆえ書きませんよ。

悪に立ち向かう。

それは、リアリズムなのか？　ファンタジーだったりするのか？

それは、作者の腕しだいなワケだと思うけれども。

半分は、リアリズムで、大企業やら政治家やらを描くのは、さすが。

もう半分は、さっきも書いたように、ハッタリギリギリな陰謀→凄惨な事件のおもしろさ。

これ、ど～ゆうコト？　とゆう謎で、小説の半分ぐらいを引っ張る。

後半は、巨悪に立ち向かう善人たちのアクションが描かれています。

重い、悲惨な話。

そこに絡めて、悪と善の対決を描く。

ファンタジーになりすぎないように配慮しつつ、悪の魅力、善の魅力を両方描く。

いちばん悪いのは、やはり政治家かな、とゆう気がするワケですが…

じゃあこのワルの政治家が心底憎い野郎かといえば、そうでもない。

支配者層の事情。

ようするに庶民のコトなど、眼中にない。とゆうような。

政治家の命令で動いてる、殺しのプロや、現場指揮する者もね。

ワルはワルなんだけども、言われるまま、命令されるままに動いているだけだから、どこかクールといえましょう。

クールに、残忍なコトができる悪人たち。

われわれからすると困った事態ゆえ、庶民のみなさん死んでもらいますよ。よろしく。

残忍な支配者層。クール。

庶民、弱者のコトなど知ったことか。とゆう、残酷な支配者層を、徹底的に描く小説、『犯罪者』。

それに対する、善人側が迎えるピンチ、サスペンス、さらに反撃。

いいんじゃないでしょうか。魅力的ですよ。

主要な登場人物が、すべて男とゆうのも潔いと思いましたね。

ラストのほうで、「この人、ヒロインなんだ？」といった趣向もありますが。

2012年作品。

読書でハラハラドキドキする / 太田愛『犯罪者 クリミナル』