むかしむかしのお話。結婚後少しの間、近所の内科医院で受付をしていました。郊外にあったため、他に医院がなくて、先生も優秀で優しかったので、とても流行っていました。看護師さんも優秀な方おふたりで、交代で、朝晩勤務されていました。ある日年配のAさんが、午前の診察の後、帰りにお昼ご飯をご馳走してくださることになり、お宅にお邪魔することになりました。とても手際よくお昼ご飯を作ってくださり、美味しくいただきました。その時とても感動したことがありまして。それは、その方の使っておられた菜箸が、通常の長さの半分の長さだったことです。家族のために、毎日毎日お料理をし続けて、使い続けたそのお箸は、お魚を焼いたり、炒めたり、大切に使われて、半分の長さになるまで使い込まれていたのです。主婦の方ならお分かりと思いますが、そこまで使い込まれた年輪というか、まだ駆け出しの主婦となったばかりの私はとても感動してしまいました。そして、私もいつか、こんなふうに、使い込まれたキッチングッズで、お料理したいものだと、思ったことでした。あれから何十年、今、私の菜箸は、まだまだ長いままなんですけどね。あの頃、先輩主婦として、家事やお料理や、生き方まで、いろんなことを学ばせてもらって、今でも時々、懐かしく思い出すことがあります。
- 前ページ
- 次ページ