木のないところまで登っていきます
冷夏!という声もありますが、やっぱり暑いです。
今年は緊縮財政のため、エアコン禁止令が発令させていますので、
サウナ状態になります。ダイエットにはいいけど…。
さて、汗を噴出しながら書いたショート・ベリショート、いかがだったでしょうか?
ブログのタイトルからかなりかけ離れた感はありますが、何だか生きがいが見つかったようで、書くことにはまりそうです。
いつまで、このテンションが続くかなぞですが、ご感想などいただけれが、この上ない喜びです。木のないところまで登っていきます。
よろしくお願いします。
『赤いピアノ』
ブログのタイトルから再び離れますが、
心のメタボ解消編ということでお許しを…。
今回も、小説・ショートショートベリーショート、を掲載させていただきます。
前回、貴重なアドバイスもいただけまして舞い上がっていますが、
修行は今、始まったばかりだと気持ちを引き締めています。
稚拙な文章ですが、ご批評などいただければ幸いです。
------以下、小説本文-------
『赤いピアノ』
30年前の高校の文化祭。
悪友の慎二と、彼が惚れている裕子と3人でバンドを組んで、
ステージで歌った。
メインボーカルは慎二。
僕はサイドギター。
裕子はピアノ。
曲は「サイモン&ガーファンクル」の「スカボローフェアー」。
慎二が惚れている裕子はプロのピアニストを目指していた。
僕たちは、彼女の本気度をまだ理解していなかった。
教室を使ってのミニステージなので、本物のピアノは
使えない。
どうしようか?
練習の時、僕たちは頭を悩ませた。
彼女のピアノがないと、超平凡で下手くそなギター2本だけで
ステージに立たないといけない。
裕子が言った、「おもちゃのピアノでもいいよ」。
「えっ」と2人顔を見合わせた。
まさか、プロのピアニストを目指している裕子が
おもちゃのピアノを弾くなんて…。
「やってみましょうよ」と彼女。
「そうだな、やるだけやってみようか」と僕ら。
3日後、慎二の家に彼女がおもちゃのピアノを持ってやってきた。
もう古くなって、赤く塗られていたペンキもかなりはげている。
「こんな小さなおもちゃで大丈夫か?」
何も言わずに彼女は鍵盤をたたいた。
ちゃんと音が出る。
「ねっ、これでも曲弾けるわよ」と彼女。
そして、「スカボーローフェアー」を弾き始めた。
美しいメロディーが静かに流れる。
僕たちは驚いた。
そして、「やったー」と拍手。
これでステージに立てる。
何気なく彼女はおもちゃのピアノで曲を弾いたが、
よく考えると、かなりの技だ。
普通あの少ない鍵盤で弾けるような曲ではない。
かなりアレンジして弾いたのだろう。
さっそく3人で練習を始めた。
真剣な顔をしておもちゃのピアノを弾く彼女。
ノー天気な顔をしてギターを弾く僕。
慎二のやつは、彼女にいいとこ見せようと、
けっこう本気で歌っている。
2週間練習を重ねた。
そして、文化祭の本番。
ステージに僕らが立った。
ちっちゃなおもちゃのピアノにみんな驚いている。
そして、笑い声のようなものが聞こえてきた。
僕たちをコミックバンドだと思ったのかもしれない。
いや、そう思う方が自然だ。
ざわざわした中、僕たちは曲を始めた。
慎二はけっこう歌が上手い。
「スカボローフェアー」の美しい歌詞をゆっくり歌いはじめた。
彼女のピアノはまだ鳴らない。
僕はサイドギターで慎二にからむ。
そして、輪唱のパートに入って、静かに彼女がピアノを弾きはじめた。
美しいメロディが重なる。
観衆はもう誰も笑ってなんかいない。
みんな静かに聞き入ってる。
曲が終わった。
そして、大きな拍手。
軽く僕らは礼をした。
そのそばには、赤いペンキがはげたおもちゃのピアノが
佇んでいる。
ステージを降りて僕らはコーラで乾杯した。
3人ともまだ顔が火照っている。
そして、数日後、慎二は本気で彼女に告白した。
彼女も慎二のことを悪く思っていない。
これまでもモーションをかけていたのだが、どっかで
ちゃかして、逃げていた。
しかし、今度は本気で彼はアタックした。
「プロのピアニストを目指しているので今は誰とも
つきあえないの」、と彼女は答えた。
つまり振られたわけだ。
「ピアニストになるから時間がない、なんて、俺を振る口実だ」と
落ち込んで、あきらめきれない慎二。
その気持ちは痛いほどわかる。
彼は気持ちを振り切るようにサッカーの部活に熱中した。
そして、暫くして修学旅行の時が来た。
彼女は参加しない。
理由は「ピアノの練習があるから…」。
慎二を振った理由は本当だったのだ。
彼女は本気でプロを目指していた。
卒業して30年。
慎二にも裕子にも僕は会っていない。
けれど「サイモン&ガーファンクル」の曲を聴くたびに
あの時の赤いペンキがはげたピアノを今でも思いだす。
「大切なものを忘れてないか」
そう、遠い空から語りかけてくるような、あの音色を。
突然ですが、小説(ショートストーリー)を掲載します
えーと、かなり突然ですが、
先ほど書き上げた小説(ショートストーリー)を掲載させていただきます。
これまでの、このブログの内容と何の脈絡もないのですが、
発表の場がここしかないのでお許しください。
処女作ですので、稚拙なところだらけと思います。
コメントなどでご批評いただければかなり嬉しいです。
以下本文です
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『黄色いバンダナ』
石垣島のビーチにいた。
夕立の激しい雨で、逃げ場を探す。
トタン屋根の小屋の軒下、そこに入ればなんとかなりそうだ。
急いで走り込む。
傘はない。
そこには、ショートパンツに白いスニーカーの
女の子がいた。
彼女も、濡れたTシャツを気にしながら、
雨の勢いがおさまるのを待っていた。
「けっこうきつい雨ですね」と僕は話かけた。
「ええ」と、短く彼女は答える。
雨はさらに激しく降ってくる。
暫くはここから動けそうにない。
でも、彼女はすぐにでもここから飛び出したいようだ。
ポニーテールも黄色いバンダナもびしょ濡れなのに。
僕の車は歩いて5分くらい離れたところに止めてある
「急いでるの?」と彼女に聞いた。
暫くの沈黙。
そして「ちょっとね」と彼女が答えた。
「大事な用事?」僕は尋ねる。
彼女は静かにうなずいた。
「どこに行きたいの」と彼女に聞く。
「空港まで」と短く答える。
石垣島空港は車で行けば30分くらいの距離だ。
「送ろうか」
「でも、それは悪いし」
「いいよ、どうせ濡れてるんだから車取ってくるよ」
「でも、いい」
彼女はうつむいて答えた。
暫くの沈黙。
「空港に何で行きたいの?」
おせっかいと思いながらも、僕は聞いた。
「帰ってくる」小さな声で彼女は答える。
詳しいことを詮索するのは無しにして、
「送るよ、どうせ濡れてるし、いつまでもここにいても仕方ないから」
そう、僕は話した。
不思議と下心など何もない。
「いいの?」と彼女。
「よし決まった」と僕。
急いでオンボロのレガシーワゴンを取りに行く。
もう15年前の車だ。
それでも、ちゃんと走る。
ボクサーエンジン。
燃費は悪いけど、技術者のハートが込められた車だ。
二人で空港に向かう。
島の小さな空港なので、渋滞はない。
カーラジオからローカルな島歌が聞こえてくる。
日本語なのに言葉がよく分からない。
「何時までに空港に行けばいい?」
「4時35分」彼女は答える。
激しい雨をくぐってアクセルを踏む。
あと15分しかない。
車はほとんど走ってない。
さらにアクセルをぐっと踏む。
スピードメーターは120kmをさしている。
レガシーは燃費は悪いが速い。
しかし、視界が悪いし、路面が濡れているのでかなり危険だ。
スピンしないようにハンドルを切りながら、
なんとか彼女の言った時間に間に合った。
なんで、そんなに無理してまで空港に行くのか
まだ理由を聞いていなかった。
彼女は沈黙したままで助手席に座っている。
カーラジオからはスローな島歌が静かに流れている。
「何とか間に合ったね」と僕。
「ありがとう」とポニーテールの彼女は答える。
そして、彼女は車を降りてダッシュ。
空港の到着ゲートに吸い込まれていった。
東京発のジェットが着陸する。
しばらくすると到着ゲートがにぎやかになる。
僕は他に行く予定もなかったので、
車を止めてカーラジオで島歌を聴いていた。
にぎやかな人の波。
やがて、到着ゲートは静かになる。
遠くで見ると、彼女は待合室のベンチで
一人座っている。
1時間くらい経ったろうか、
彼女がゆっくりと、うつむきかげんで待合室から出てきた。
待ってる人がこなかったのだろう…。
うなだれている彼女にもう一度声をかけた。
誰を待っていたのかは聞かない。
どしゃぶりの夕立は見事に晴れ上がり、
抜けるような青空にかわっている。
「どこかに送ろうか?」彼女に言った。
ほんの少し時間をかけて、「ありがとう
でも、自分の足で行くわ」と彼女が言った。
晴れ渡った沖縄の空の下、
彼女は少し上を向いて、歩きはじめた。
後姿のポニーテールに黄色いバンダナが揺れていた。