よくよく考えると(いや、考えなくてもだが)、素材からしてあれほど美しい造形のカラーには、
なかなかお目にかかれないんである。
そう、日本中のフラワーショップをしらみつぶしに探したって見つかるか分からない、あの、蠱惑的な佇まいのカラー。
「ちょっとぉ~解ってる? アンタなんかにカンタンに撮られないのよ、私は。お馬鹿さんねぇ…ウフフフフッ」
嗚呼、素材選び(基本)から必要。。
そうヒシヒシと勝手に思い知らされた、汚れっちまった悲しみの9月某日、連休の夜は更けてゆく。
脚本 中澤敏明
音楽 石川忠
原作 江戸川乱歩
海獣シアター
1999年度作品 84分
【出演】
本木雅弘 りょう
筒井康隆 もたいまさこ
藤村志保 田口トモロヲ
竹中直人 浅野忠信
石橋蓮司 村上淳
赤麿児 ほか
配給:東宝
いま眉を剃らせたら日本一。女優"りょう"の美しさを再認識する80分でした。下手すりゃ恐いかもしれない彼女の切れ長アーモンド型の目も、向こう側が透けて見えそーな白い肌も、か細い身体も、映画の中では200パーセント「美」に還元されていて、特にファンってワケでもないのに何度もゾクゾクきてしまいました。塚本監督、恐るべし。カメラが引いた時の佇まいもハッとするほど妖艶で、全裸(!)で髪を洗う川辺のシーンなんて天女のよう。さすがデルモ出身は違うワ!と思わせてくれます。
パンキッシュな魅力爆発の貧民窟時代の彼女も超キュート。火事場から逃げ出してきたみたいなバクハツヘアー&ボロキレファッション(…グランジ?)は言わずもがな、下町のガキんちょみたいなリンゴほっぺで目をきらきら。ハスッパ口調で「ステ吉、アンタを待ってたんだよぉぉー!」なんて言われた日にゃ、モックンでなくてもヒトメ惚れするさハニーってカンジなんである(美しいって罪)。
本編の原作は云わずと知れた江戸川乱歩。でもそこは『鉄男』を生んだ天下のツカモト、一筋縄じゃいきません。出演者は全てアオヌマシズマ((C)横溝正史)ばりの白塗り能面顔…そう、この作品の登場人物には皆「眉」がないのです。剣呑、剣呑。さぞかし怨念因縁ドロドロの世界が…と思いきや、激しい場面展開とめくるめく?演出で、ほとんどメイクに違和感を覚えるヒマがないという恐ろしい事態に(笑)。
白塗りメイクゆえのホラーちっくな作りもなく、とりわけスタイリッシュな演出が印象的。シンメトリーな背景に写し出されるりん(りょう)の裁縫姿や、レースのカーテンごしに浮かび上がる彼女のシルエット、ヴォーギングと見まごう動きの(!)美麗なベッドシーン…etc,etc。そう、前述の白塗り眉無しメイクも、そんなツカモト的乱歩の耽美世界を彩る要素のひとつにすぎないのです。
とはいえ、監督独特の歪んだ人物描写は健在だからファンも大安心。りょうの暴力的な美しさもハンパじゃないが、モックン(本木雅弘)の大熱演&怪演もちょっとスゴイ。ヨダレと涙を垂らしながら「助けてくれぇぇ」「死ね死ね~ッ」と絶叫する壊れっぷり(しかも楽しそう)といったら『鉄男』のトモロヲとタメ張るくらいアナーキー。モックン、ひと皮むけたねってカンジです。人格崩壊前の彼も、気品漂うエスプリ紳士(!)といった趣きで素敵に美しい。そう、『双生児』とは人物・演出諸々がスクラム組んで奇跡的に産み落としたアナザーワールド。乱歩ファンも塚本ファンもそのどちらでもない貴方も(つまり全員)きっとモノの見方が90度くらい(?)変わる前人未到の未開地、なのであります。怪作。
STORY
明治末期、旧家の跡取りとして医者の地位も名誉も、そして美しく貞淑な妻りん(りょう)をも手にした雪雄(本木雅弘)。つつがなく暮らしていた彼の前にある日現れたのは、自分と全く同じ顔の男だった----。同じ顔を持つ2人の男と、その間を揺れ動く美しい妻。3人の奇妙な愛と復讐の物語が幕を開ける…。 |
美・悪・醜 | ★★★★★ |
彩・宴・雅 | ★★★ |
シブがき隊。 | ★(ひとり分) |
総合評価 | 86/100点 |
注:★5つが最高。
評価は独断と偏見によるモノです。
(全体イラスト、キャプション)
たたみ掛けるような場面転換、挑発的なカメラワーク…見る者を否応なく世界へ引きずりこんでしまう圧倒的な「動」のパワー。観客が映像と距離を保つコトを、塚本監督は決して許さない。
『ムトゥ 踊るマハラジャ』(初出なんと1998年!笑)
■噂のムトゥはやっぱりスゴイのダ。
ブラボーインディア!! マサラムービー万歳!!! ってインド映画は実は初体験。そして映画館で最後に拍手喝采を経験したのも初体験。免疫がないだけにそれはもうキョ-レツでした。何もかもが。
何が凄いってああた(笑)、まずヒロインのミ-ナが悶絶するほど美しい! 貴方は極楽浄土の女神です。神々しく妖艶でむちむちぷりんな玉のお肌。ちょっぴりワキ腹についたゼイ肉もまた一興。ミスユニバースじゃインド代表は最終選考の常連だし、ホント、これだけでも見に行く価値があるってモンですわ、あんさん(笑)。
■愛と感動、歌と踊りの大スペクタクル(笑)
そして外せないのが強烈な踊り。スト-リ進行に関係なくいきなり始まるってのがミソ。ミュージカルよろしく、セリフが突然歌に変わっちゃうわ、どこからともなく湧き出るエキストラ(人だけにあらず)の数・数・数……よく見るとみんな目ぇイッちゃってます(笑)。ゴキゲンなナンバーでレッツ総トランス! シリアスな愛の告白も、フンマンヤルカタナイ怒りも踊る&歌うという行為にすべて昇華されるのです。
さらにそのトランス状態に拍車をかけるのが、大胆すぎるカメラワーク。人っ!! 象っ!! ニワトリっ!! 馬っ!! そしてまた人っっ!!! そんな人を喰った(?)珍妙なコマ割りがリズムに合わせて随所に挿入。すんごいサブリミナル効果で見ているこっちもトリップ寸前。
■トホホギャグ&演出の応酬
ギャグ知能指数はちょっち低め(笑)。ドリフ&香港映画的ノリだから、ナンセンスギャグで「ズッコケ」って言葉がピッタリ。何も考えず頭からっぽにしないと笑えない(笑←子供は笑えるだろうけど)。
それ以上に何が可笑しいかってぇと、突っ込みどころ満載の演出なのだ。そう、これが神髄。ドラマチックなBGM。大げさな効果音。ラジニカーント(ムトゥ)の必要以上にリキ入った顔。なぜかふり向きざま超スローがかかったりする(しかもループで)演出は確信犯なのかッ!? お腹から爆発的な笑いが込み上げて、もはや窒息寸前。冒頭の登場シーンでいきなりやられちゃいました。まさにつかみはOK…完全にムトゥの思うつぼ(笑)。お、お腹イタイ…笑いこらえるのに必死でふと横を見ると、隣の方も肩震わせてました。あはは。
■好きです、インド。
こんな娯楽作品を年間800本も作るたぁ、インドって国はフツーじゃない。国内映画総生産世界一ってホント? なんちゅー国なのインド。みうらじゅん氏じゃないが核実験なんかしてないで、このままお気楽ノーテンキなエンターテイメント王国になりきってて下さいね、インド。好きでいたいから。
エンターテイメント | ★★★★★ |
カルチャーショック | ★★★★★ |
ギャグ知能指数 | ★★★ |
総合評価 | 90/100点 |
注:★5つが最高。
評価は独断と偏見によるモノです。
STORY
大地主ラ-ジャーの屋敷で専属ボディーガード(兼 馬車乗り&執事)として働く皆の人気者、ムトゥ(ラジニカーント)。 ある日ラ-ジャーのお共で旅回り一座の芝居を見に行ったムトゥは、花形女優ランガナ-ヤキ(ミ-ナ)と恋におちる。しかしラ-ジャー御主人様も彼女に一目惚れしていたからタイヘン!御主人様はムトゥにとって命より大切なかけがえのないお方なのだ(どうするムトゥ!?)。 一方ラ-ジャーの伯父アンバラッタールはなんと屋敷の乗っ取り計画を遂行、ムトゥを追い出しにかかる。おかげで本人さえ知らなかったムトゥの過去が明らかにされ、ストーリーはとんでもない方向へ… |
↑自他共に認めるインドのスーパースター、ラジニカーント!!!
スカッと爽やかな笑顔がチャームポインツ。