10億ドルの情報を提供したソ連のスパイ物語
モスクワの技術研究所に勤務する技術者がCIAのスパイになり、貴重な情報を提供した活動の
CIAの内幕を情報公開法を使って、電文まで読み込んでイキイキと活写した素晴らしい本。
スパイとのやりとりがリアルで、その場に居合わせたような気分にしてくれる。
ソ連のスパイは、ペンタックスのカメラを使って、昼休みにコートに機密文書を隠して持ち出し、
自宅に帰って撮影していた。スパイの勤務先、自宅、CIAのいる米国大使館が徒歩圏内になるとは、
あり得ないほどの偶然だ。そして、その情報が米国にもたらした価値は10億ドルに上るという。
スパイは、CAIの方からリクルートしたのではなく、技術者からの売り込みだったのもビックリする。
そのスパイの身元がKGBに分かったのが、CAIの職員の裏切りだったのも、ドラマチックだ。
もう少し活動を続けていて、ソ連の崩壊に間に合っていたら、どんな結末になったのかと思うと、
少しやりきれない気分になる。スパイの妻がガンにかかり、米国に助けを求めても、救えなかった話も
気が滅入る。ワザと無視したのではないにしても。400ページを超える大著だがあっという間に読める。
58.0