先ほどリアルタイムで「それでも、生きてゆく」第8話を観た。

第7話を観て「それでも、生きてゆく」は重いけど面白い  と書いた通り、本当に重い。

でも、心地よい疲労感。


息を飲む様な、とか、心を揺さぶられる、とか、心が震えるとか、ハラハラドキドキとか・・・

そんな陳腐な表現が、1本の地味なドラマを見ているだけで本当に実感できた。


同じドラマでもスッカスカのタイガとは天と地ほどの差がある。

人はこう言う非日常の感覚を体験したくてドラマを見るのだと思う。(私だけ?)

決して状況が殺人の加害者側と被害者側の接点を描いているとか言う、非日常を描いているから得られるといった単純なことではない。


脚本が素晴らしい。

実は前回(7話)の展開や8話の予告編を見て、それまである意味淡々と丁寧に描いていたものを無理矢理急展開しているような嫌な予感がしていた。

脚本家があのメイサク「チェイス」の坂元裕二さんだから。(笑)

チェイスは初回にわくわくするようなドラマが始まったとコーフンして感想を書いたのだがどんどんストーリーが進むにつれ広げられた大風呂敷をびつくりするよな畳み方しちゃって、トンデモドラマに位置づけられたことが忘れられないのだ。(笑) (チェイス 国税査察官・・・おもしろかった?


でも、全くの杞憂に終わった。

何もかもが意味があってちゃんと繋がっていて、細部まで丁寧に描かれていて説明臭さなどゼロ。

いちいち感心してしまう筋書きだ。(←エラソーなのはいつものこと)

そして、その世界観を素晴らしい役者さん達が再現してそれを最大限に引き出し、更に厚みを付け役者にはなしえない世界観を演出が創り上げている。

その制作姿勢にも感動。


先週のwikiの表記では、演出が私の好みの方ではなかったのだが、タイトルロールで「演出 宮本理江子」を発見して思わず喜んでしまった。まさか「龍馬伝」以外のドラマでこんなことになろうとは。(笑)

前回の感想で書いたとおり、ワタクシ宮本理江子さんの演出が好きらしい。。。


いやぁ・・・さすがです。参りました。

私のような素人がその素晴らしい演出や演技についてピックアップしてあーだこーだ言うのははばかられるので特に印象に残ったところだけ書こ~っと。


娘を殺された大竹しのぶとその殺人者:三崎文哉(風間俊介)の妹である満島ひかりがご飯を食べていて、どうやら文哉が再び殺人(この時点では未遂)を犯してしまったと知った時の大竹しのぶのセリフにゾクッとした。

犯罪被害者ならではの事件を知った時の状況を語った後のセリフ。

「ご飯とお風呂は済ませられるうちに済ませたほうがいいの。・・・また、長い一日が・・・・始まるかもしれないんだから」

これがなんだか舞台を見に行っているような感覚に陥るくらい「場」を支配していた。

それを受けている満島ひかりもよかった。

お芝居ってこうなのよ!こうあるべきなのよ!・・・誰に言ってるんだか。(笑)


特に凄かったのが、文哉とその文哉に娘を殺された母親(大竹しのぶ)の対峙。

何も気づいていない義理の娘を挟んでの大竹しのぶの感情の揺らぎと、それを感じ取っている文哉の不気味な感じが素晴らしいカメラワークで緊迫感がすごい。

まさに、俳優の凄い演技に更に凄みを与えているカメラワークだ。

ここからの大竹さんの狼狽ぶり、孫を文哉に抱かれているという恐ろしい状況、不気味な無表情の文哉・・・と、いちいちハラハラしてしまう。(笑)まるでサイコスリラーを見ているような緊迫感。


二人の視線の絡み方や身体の向きだけでも雄弁に状況を物語っている。

遂に、大竹しのぶが「文哉君・・・」と声をかけてからの掴みあい~もう・・・手に汗握る状態のnanako。(笑)

大竹さんもすごいけど、文哉も怖い。

これって長回し一発撮りだろうなぁ・・・とか思ってしまうのは、「龍馬伝」の演出を熱く語ってくれた大友さん(・・・その4「龍馬伝」フィクション×ノンフィクション@銀座アップ・・・ )の影響だと言うことは否めない。(笑)


またねぇ・・・音楽がいいの。ここで、これかぁ。センスいいわぁ。

ラフマニノフもまさかこんなドラマにこんな風に生かされるとは思ってもみなかったと思うけど、きっと喜んでくれてると思う。(笑)って、ラフマニノフだと思うんだけど違ってたらはずかし~(笑)


瑛太も遂に満島ひかりに告白するし、楽しみな展開だぁ。


そう言えば。三崎文哉役の風間俊介さんて全然誰だか知らなくて私の中ではすっかり文哉なんだけど、この人ジャニーズなのね・・・。昔からジャニーズに興味なかったもので・・・。ルックスがあんまりそんな感じじゃなく見えたけど、上手いですね。(←またしてもエラソー)

もっとも、このドラマ下手な人が一人も出ていないのがすごい。どの役者さんもすごい。それとも、演出の人が諦めずにその美学を貫く演技指導をしている賜物なのか?

と、またしても頭の隅ではタイガでちゃんと演出してもらえていない(←勝手な決めつけ)不憫な向井くんのことを思うある意味不憫なnanako。


あ・・・今回は満島ひかりに全くイラっとしなかった・・・。やっぱり演出の力???