2011年1月15日公開の映画「ソーシャル・ネットワーク」を見てきた。

昨日のお昼に六本木ヒルズのTOHOを予約したのだが、その時点で真ん中は前の方しか空いてなかった。

今日の入りは9割強かな?

この映画とは全く関係ないが、このシネコンで一番大きなスクリーンで映画を見るのは、映画の舞台挨拶をする大森南朋目当てで出かけてついでに(?)見た「笑う警官」 以来だと懐かしかった。(笑)


話題の映画、しかもアメリカ映画を公開から数日以内に見るのは、非常に私らしくない。

当然、アバターも見ていないしスターウォーズ(←時代が飛び過ぎ)も見ていない。ひねくれ者なのだ。

が、フェイスブックに対しては色々と思うところがあったのと、すでに英語のみで見てきたというお給料をくれている会社のしゃちょーが、早口すぎて分かりにくかったというので、どの程度分かりにくいのかも興味があったのだ。

因みに、しゃちょーはアメリカのすごく立派な大学のMBAホルダーであらせられる。(笑)


あらすじ

世界最大のソーシャルネットワーキングサイト「Facebook」創設者マーク・ザッカーバーグの半生を、鬼才デビッド・フィンチャーが映画化。2003年、ハーバード大学に通う19歳のマークは、親友のエドゥアルドとともに学内の友人を増やすためのネットワーキング・サービスを開発する。そのサービスは瞬く間に他校でも評判となり、ファイル共有サイト「ナップスター」創設者のショーン・パーカーとの出会いを経て、社会現象を巻き起こすほどの巨大サイトへと急成長を遂げるが……。主演は「イカとクジラ」のジェシー・アイゼンバーグ。共演にジャスティン・ティンバーレイク、新スパイダーマンに抜擢されたアンドリュー・ガーフィルドら。http://eiga.com/movie/55273/ より


120分があっという間の、非常にテンポのある無駄のない濃い内容だった。

一言で言うと、文句なくおもしろい。いろんな意味で面白い。


鑑賞目的その1:しゃちょーの言う早口でわからないレベルのチェック(←イジワルな社員)

冒頭で主人公のマークがパブで女子と会話しているところは、確かに早口だが発音がはっきりしているので、内容もちゃんとわかる。しゃちょーはこの程度で早口って感じるなんて、よくMBAを・・・と思って見ていたが、それは会話の内容が屁理屈男とそれにあきれる女子のたわいのないものだったから私にもわかったのであって、プログラミング系の場面になると字幕に頼りっぱなし。納得である。(笑)


鑑賞目的その2:フェイスブックの成り立ちを実感?する

なるほどねぇ、こーゆー人たちがこーゆー思いで立ち上げて、こーゆー摩擦があったわけね。。。と目的達成。

とは言え、事実をもとに創造も入っていると最後にお断りが出てきたし、本人がこの映画については否定的だというニュースは知っていたので、確かにこんな描かれ方されて喜ぶヒトはいないだろうな・・・と思った。


といった、不純な鑑賞目的を除いてもそれぞれの登場人物の倫理観ややり方などがすごくよく描かれていて、かなり感情移入したりうならされた。


人物描写も、脚本も、セリフやカット割りなど上手い!とか思う余裕があったところはわずかで、映画に引き込まれつつもぼーっとしているとついて行けなくなるので喰いついて見ているうちに終わった感じ。

それくらい作品に力があった。俳優も素晴らしかった。

ま、あまり最近のアメリカ映画を見ない私なので先入観無く見ることが出来たのも幸福だったのだろうが、純粋にみなさん素晴らしかった。


なんの予備知識も無く見に行って、今記事を書くために初めてWeb情報を見たのだが、すばらしいページがあったので、もしこういう用語になじみの薄い方は是非見て行かれることを強くお勧めする。

映画を読み解くビジネス用語&IT用語辞典


私は仕事上たまたま知っている用語ばかりだったので、映画もなんとかついて行けたがその辺の知識のない方にとってはちょっと辛いところがあるかも。その辺は映画「ハゲタカ」に近いテイストかも。


で、特に最初の方は女性であったりハーバードのようなエリート集団に属していない、いわゆるマイノリティにとってはものすごく不愉快な内容だった。私が一緒に仕事するヒトたちは、しゃちょーをはじめとしてエリートに属していることがそのメンタリティを構成しているタイプが多いので余計に腹が立ったのかも。(笑)


にしても、すごく面白い映画だったし「今」という時代を感じられるすごい映画だったのに、映画館を出てからなんかすっきりしなかったのだ。駅まで歩いて電車に乗って帰宅するまで音楽も聞かずにずっと、この気持ち悪さの原因を考えていた。


帰宅するころ、ようやくわかった。

フェイスブックを強引に拡大していくマークや、ナップスターの創業者などの言動やメンタリティが、私がこの数年間一緒に仕事をしていた数名にそっくりなのだ。

みんな頭は非常にいい。感じが悪いしお行儀も悪く自分にものすごい自信を持っている。そして倫理観と言うものが見事なまでに欠如しているところなどそっくり。もちろん、ギョーカイも一緒。

その中には、シリコンバレーの企業もあり、技術はすごくてもそのオペレーションはヒドくてとても苦労して契約締結したとたん、世界的な企業、I○Mとか○raclとかに会社を売却してくれちゃって、改めて契約締結しなくてはならなくなったり本当に思いだすだけでも腹立たしい。。。

そんな人たちと仕事をしていてリーガル面を主に担当していた私は本当に苦労させられた。その時の自分の倫理観との戦いや、ビジネスの正義とはなにか、いや、正義など要らないと思わなくては・・・などと、葛藤しつつ問題を処理していき、都合が悪くなると逃げるあの人達の振る舞いに対して抱いていた怒りをおもいだしたのだ。


そう、映画を見ていや~な気持ちになったと同時に、意識下で仕事のときのいや~な気持ちとシンクロしてしまって、理由もわからずいや~なすっきりしない気持ちになっていたのだ。


映画もそうだったが、現実で関わっているビジネスも常識や倫理観にとらわれずに突き進んでいくようなヒト達がいないと、ブレイクスルーは起こらない。悲しいかな、そうなのだ。そしてそれがお金を生めば全て許されていく。


他にも、いろんなことを考えさせられた映画だった。

機会があったらもう1回観てみたいかも。


【追記】

インターネット上の著作権について学んだことのある方ならご存知のレッシグ教授(Lawrence Lessig)が、この映画について記事を書いていらっしゃるのを鑑賞後に読んでみた。

Sorkin vs. Zuckerberg‘The Social Network’ is wonderful entertainment, but its message is actually kind of evil.

http://www.tnr.com/article/books-and-arts/78081/sorkin-zuckerberg-the-social-network  

映画にどこまで真実を求めるのかは、そのエンターテインメント性からして難しい問題ではあるが、事実は把握しておく必要があるとは思う。そう言った意味で、興味のある方には一読をお勧めしたい。


私は幸運にも、2002年秋の終わりに東京で、当時スタンフォード大学教授であったレッシグ氏自身による「The Creative Commons(創造を育む万人共有財産)」のレクチャーを受けている。当時、その見解はまさしく目から鱗の世界で、知的興奮を抑えられなかったのを覚えている。現在は映画の舞台となっているハーバード大学の教授であり登場人物たちもご存じの教授のご意見は非常に興味深く、これらを踏まえたうえで再度この映画を見たいと思った。

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ローレンス・レッシグ

(Lawrence Lessig、
1961年 6月3日 -)は、スタンフォード大学 ロー・スクール 教授 および同大学のインターネット社会研究所を経て、2009年よりハーバード大学法学教授およびエドモン・J・サフラ財団倫理センター所長を務める。(wikipedia より)