龍馬伝 第42回 「いろは丸事件」の感想です。

やっと今日見たがじゃ。。。大友さんのセミナー聞いた割には行動が冷たいワシ。(←一瞬ワシになる高杉晋作=

伊勢谷友介さんを想ってみた)


いや~、今回もタイトルロール前から濃いですねぇ。

画面の雰囲気や濃密さがまるで映画のよう。クオリティが高くてコストがかかっていそうって意味もあるけど。(笑)


きゃ~、演出は久々の梶原登城さん。期待できるかも♪

こんなことで色眼鏡になってはいかんのじゃが、過去の経験からの条件反射なので仕方ない。

終わってみるとやっぱり、あれだけ盛りだくさんなのにちゃんと道筋があるっていうか、脳みそは忙しいものの変なストレスがないのでそう言う意味では疲れなかった。(笑)


いろは丸と明光丸の衝突事件でも坂本龍馬の交渉術については、国際公法を持ちだして徳川御三家紀州藩に勝ったということだけは、幕末に疎い私でも知っていた。

今回はそのあたりがたっぷり楽しめるのだろうといつもよりも若干期待値が高め。


いろは丸衝突の後に寄った福山 鞆ノ津(現在の鞆の浦)での、龍馬(福山雅治)の仕切りはとっても素敵。

自分達がわるいわけでもないのに、乗客に対してホスピタリティを発揮して不安にならないように気を配っている。こういうセンスって侍にはなかなか無さそう。


そこに超エラソーに乗り込んでくるわかりやすすぎる悪人顔の紀州藩士たち。(この人たち、最後までなぜか顔がテカテカしてたんだけど 笑)そしてそれを睨みつける紀州の脱藩浪士である陸奥君(平岡祐太)。


天下の紀州藩からの小手先の見舞金千両を置いて行かれそうになり、噛みつく海援隊の面々だったが、変なプライドは置いておき素直にいただく龍馬。そんなところもいい感じ。お客さんに配るという。

しか~し、自分たちの分はどちらに非があるか明らかにしたうえで請求すると堂々と言い放った。

が、紀州藩から見れば脱藩浪士ごときが何を言う!と、相手にされないのも当たり前。

長崎に向かうから時間が無いという紀州藩士に「ほんなら長崎で」という龍馬は今までになく説得力があってなんかおやっと思ってしまったがじゃ。(笑)

大友さんの話を聞いたからじゃなく、確実に福山龍馬が育っているのを実感した。(←エラソー)


場面変わって岩崎弥太郎(香川照之)と百瀬常務じゃなくて大洲藩士(岡本信人)との接待席。弥太郎の手段を手放しでほめちぎり「大洲藩に来てほしい」とまで言う百瀬サン。(←しつこい)

弥太郎の返しもなかなか楽しい。

そんな中いろは丸の沈没を知らされる。百瀬さんの顔までマンガになっていてそのカットで終わる。(笑)


そして土佐商会で庭先に正座していろは丸沈没を報告し、借金は岩崎に何とかさせるから自分の言うことを聞けという後藤象二郎(青木崇高)に対して、紀州藩に全額払わせると言い切る龍馬。それがいかに無謀なことであるかは、それまででも十分に描かれていたし弥太郎がデューデリ(笑)する世の中に敏い長崎商人たちの反応を見ていてもよ~く伝わってくる。

こういう、じわじわときちんと描かれるディテールの積み重ねがあると、物語や龍馬の行動に説得力が生まれるんだよな~。どういて、これが出来るときとびっくりするほど出来ないときとあるんだろう???


このときの、後藤象二郎を説得する龍馬の論法がとっても素敵。この事件が海難事故の先例になるであろうと示し、単なる一事件ではないというアプローチを始めた龍馬を見る弥太郎の表情がまたいい!最近は先見の明があって周りにも尊敬のまなざしで見られていた弥太郎だが、龍馬にその先見の明を見た驚きや嫉妬が一瞬の表情で現れている。


大友さんのセミナーを聞いて勝手に確信したが、このシーンだって4台のカメラが夫々使えるカットを取り続けているわけで、10分以上の長回しで同時にとっているわけである。通常の撮影であれば弥太郎がそのキメ表情をせーの、で撮ってもらって・・・となるのだろうが、舞台の如く真剣勝負でのお芝居が進んでいく中での一瞬の弥太郎の素直な表情を切り取っているのだ。だからこそうそ臭くなく、心に残るのだろう。

撮影の方は「根こそぎさらう」と、ドラマ「臨場」の主人公のセリフみたいなことをおっしゃっていたが、このシーンを見てそれだ!とおもった。


象二郎が弥太郎を紀州との談判に加わらせるようにし、更に失敗したら腹を切れと言い残して去るのだが、それをあわてて追いかけて自分も腹を切ることになるのか確認する弥太郎が、らしくておかしい。って笑い事じゃないけど。いくら龍馬や弥太郎が革新的なことをやっていても、所詮サムライの価値観の前では失敗=切腹なのだ。


それにしても、象二郎が何かにつけ難題については「岩崎!」に片付けさせるのがすごい。どれだけ信頼されているんだ、弥太郎は。


いよいよ飯島さん登場!いえ、その中の人中尾彬さん扮する紀州藩勘定奉行が遂に!

ハゲタカファンのみなさんの予想通り斜めに座っていたけど、残念ながら今回は梅干しは無かった。(笑)


そして、紀州との談判に臨む陸奥君や沢村惣之丞(要潤)、弥太郎の動きや会話、何一つ無駄もなくしかも困難な交渉に入る前の雰囲気を伝えている。陸奥君のお父上は紀州藩の勘定奉行だったんだ。。。この陸奥君が風呂敷に資料を包んで持ってきていたのが、裁判に臨む弁護士や検事を彷彿とさせた。


龍馬はあの衝突の最中、相手の船に乗り込んで航海日誌を確認してたなんてやり手だな~。

そして弥太郎、面目躍如!

旗色が悪くなってそそくさと逃げていく紀州藩士らを引きとめ、紀州藩士の非を認めるべく証拠が山のようにあると根拠を示して賠償金額をすらすらと言い切った弥太郎。さすが三菱財閥をなした男ぜよ。

船の代金 5万両

積み荷の代金 3万3千両

両方2万両ずつ上乗せしている。素晴らしい。

世の中を動かすのは「経済」だとおっしゃる大友さんの考えが反映されていますね~。(←そうなのか?)


あの有名な龍馬の小唄作戦のせいで、紀州が怒り狂っているからもうおしまいだという後藤象二郎を説得した龍馬の手腕も、かっこよかった~。

小唄を流行らせている間に海援隊はおにぎり片手に食事の時間も惜しんでビジネスを続け、龍馬は書斎のようなところで書物を広げていたのできっと国際公法やらなんやらかんやらを勉強していたのでしょう。

このとき、スモーク部屋(笑)で一人目を閉じて考えている龍馬ってちっくと鷲津に見えた。。。

その後の、理詰めでの後藤さま説得作戦もちょっと鷲津チック。。。


「龍馬の言うたとおり、2度目の談判は紀州側から申し込んできたがじゃ」by弥太郎。

関係ないけど、「ゲゲゲの女房」で村井茂さん(向井理)が、大手出版社のオファーを断ったものの、必ずもう一度相手からオファーがあると自信をもって泰然としていたのを思い出してしまった。



幕府に裁定してもらおうという紀州藩に対して、万国公法で、と切り返す龍馬。

そしてその裁定が出来る人間などいないという紀州藩に対しての、そこからの流れるような作戦がお見事。


土佐藩参政 後藤象二郎が名乗っただけでも、紀州藩はみんなびつくり。

さらに、英国海軍提督 サー・ケッペルまでお連れしている。サーですよ。。。すごっ。

そして、いきなりサーに英語で話させて、陸奥君が同時通訳をする。脱藩浪士なのにかっこよすぎ♪

なんかテンションあがるわ~。


そして飯島さん紀州藩勘定奉行の「才谷・・・おまえは、何もんや」。出たぁ。そりゃ~、ここまでお見事だと言いたくなるセリフだな。

これは言うまでもなく、ハゲタカのテーマとも言うべきセリフだし。。。

「わしらは、ただの脱藩浪士ですき」と龍馬さん。表情も含めかっこええ!!!お前は何者かと聞かれているのに、わしらというところが素敵。

ここでも、「わたしはファンドマネージャーにすぎない」と言った鷲津を思い出してしまった。ちょっと違うんだけど、思いだしたものはしょうがない。(←意味のない開き直り)

あ~、鷲津LOVEの方々に怒られそう・・・。ハゲタカ脳内変換機能がゆらぎ検索を身につけてしまっているらしい。重症だ。。。

散々脱藩浪士の分際で・・・と言っていた紀州藩士たちに気持ちいい一言だ。


それにしても、飯島さんじゃなくて、勘定奉行さん顔がアップにされ過ぎ。胸やけした。


いやぁ、弥太郎と龍馬のコンビネーション素敵だ。


山内容堂公(近藤正臣)がいよいよ動き出すときに、金の杯を手にしていたので「あれ?まだ飲兵衛なの?」と違和感を持ったが、さすが・・・飲みませんでしたねぇ。でも、それを畳にあけてしまうところがさすが大殿様。(笑)


それにしても、紀州藩に命を狙われた後も「おまんらぁには、わしは切れんぜよ」と言ってる龍馬さんだが、確か半平太を救うため(←あくまで龍馬の主観)大芝居を打って、後藤象二郎に馬乗りになった時もそんな感じのことを言っていたような。。。どれだけ逃げ切る自信があるんだか。。。最後は切られてしまうことをみ~んな知っているだけに、脚本家は、なんであんなセリフを言わせるんだろうと思ってしまう。。。



「龍馬暗殺まで、あと、6か月」


龍馬伝紀行の福山 鞆の浦って、あの金魚のアニメの構想が練られた場所だ。

宮崎駿監督が鞆の浦のある日本家屋に何カ月か籠もって原案を作成したと聞いている。

ポニョの映画公開前に鞆の浦と、その沖に浮かぶ仙酔島に宿泊したのだが、あちこちに坂本龍馬の何々があったのを思い出した。が、当時は全く興味が無かったのでチラ見しかしていなかったが、今度訪れたらガン見するんだろうな。(笑)

大友さんがセミナーでおっしゃっていた、「龍馬伝をきっかけに歴史に興味を持って自分で色々知っていってほしい」という思惑通りの私。。。単純なのである。