六本木 東京ミッドタウンのサントリー美術館に出かけた。
美術展だけは、時間がなくても何とかやりくりして出かけているのだがブログに感想をUPするのって不思議と億劫なので、つい、食べ物ネタばかりを書いてしまう近頃の私。
でも、過去の感想とか見るとその時の感動や思ったことが蘇って楽しいのでやっぱりメモ程度でも書こうと思ったのである。
鍋島は、江戸時代に佐賀藩から徳川将軍家や諸大名への贈り物として作られた最高級の磁器です。染付を基本として、赤、緑、黄の色絵や青磁釉がおりなす繊細で格調高い世界は、つねに多くの人々を魅了します。堂々とした四季花鳥の皿は、近世磁器の精華ともいうべき鍋島の地位をまさに象徴する作品です。一方、桃・宝尽くしなどの吉祥柄や、壺・糸巻・組みひも・本・水車・ウサギまでも洗練されたモチーフに仕立ててしまう鍋島のデザイン力は、明快かつ斬新な感性にあふれています。
本展は、5件の重要文化財を含む貴重な鍋島作品によって、「技」「色」「構図」「モチーフ」の側面からデザインの魅力をご紹介していきます。また、現代における色鍋島の名門・十四代 今泉今右衛門氏の作品も登場します。正統ながらも新しく、上品ながらも分かりやすい。この夏、展示室でお気に入りの一枚に出会ってくださることを願ってやみません。(HP
より)
サントリー美術館での展覧会にはほぼ毎回出かけている。
ハズレの展示が殆どないのが素晴らしいのだが、その様々なテーマの中で時々展示されていたのが「鍋島」の陶磁器だった。デザインがとてもおしゃれで、いつか鍋島特集があったら是非おじゃましたいと思っていたのだ。
因みに今までで一番楽しくて興味深かったのは、鳥獣戯画展だというのは、いつも同行する友人と一致した意見。しかも、私達が好きなのは「甲」である。(笑)・・・このブログの兎たちは、「甲」のモチーフだ。
だいたい17世紀の作品が多かったのだが、どれも本当にえりすぐりのコレクションだけあって、本当に感動、感心するような素晴らしいデザインなのだ。
友人とどうやってこんな模様を思いついたんだろうと言いながら見ていたのだが、私は「そりゃ~、藩の威信をかけて献上品を作っていたんだから国内留学じゃないけど、あちこち研鑽ツアーに出かけていたはずよぉ」といい加減なことを言う。だって龍馬だってあんなにあちこち移動しまくっていたんだし。。。と思っていたが、鑑賞後に調べてみたら、その価値を守るために職人たちはその門外不出の技術を守る為に、一生外に出ることが出来なかったそうだ。
ベニスのガラス工芸を守るために職人達がムラーノ島で一生を終えたと初めて聞いたときに随分と残酷だと思ったが、権力者がやることはどこも同じなんだな。。。そのデザインは、あらゆるものからヒントを得たびっくりするような斬新なものが多く、どうしてここまで貪欲になれるんだろう?と友人とあ~でもない、こ~でもないと語り合うのもまた愉し。
カタログを見ると、優れたデザイン=作品を作り続ける限り職人達の身分は保障されていた代わりに、いい作品が作れなくなると罷免されていたそうだ。やはり競争原理が働いて危機感が無いと優れた作品は生まれないのは現代と変わらないね~と、友人と話した。
「鍋島」をご覧になれば一目瞭然だが、デザイナーとしてのクリエイティビティが優れている上に、緻密な筆遣いが出来なければ成り立たない作品が大半なのだ。危機感がなければあの緻密な作業は続けられないだろう。
もちろん、たとえ印刷でつぶれてしまうような線でもこだわって丹精込めて緻密に描かずにいられない水木しげる先生のような真のアーティストでありクリエイターであるような方もいたかもしれないが。
重要文化財も何点か展示されていたが、そののうちの1点のデザインのモチーフに桃(だぶん)が選ばれていたが、ものすごく微小な点々で描かれていたので思わず「スガちゃんだ・・・」って言ったが、友人には通じなかった。(苦笑)因みにスガちゃんというのは、今日終わってしまった(涙)「ゲゲゲの女房」で水木しげる先生のアシスタントを20年もやっていて、点々が非常に上手な人のことだ。中の人は柄本明さんの息子さんだった。
展示を見て書ききれないほどの発見があり、そこから刺激されての愉しい連想が広がった。
そんな中、無知な私は国語のお勉強までしてしまった。
あるお皿の図柄が、川を竹等を使ってせき止めているものでその解説によると、そのせき止めてあるモノというか状態を「しがらみ」言うそうだ。漢字だと「柵」だ。
知らんかった。。。もちろん、現代で使っている「しがらみ」はここから来ている。
普段、コンサルの際にしがらみを断ち切れるか?とかクライアントに聞いているが、語源など全く知らなかった。
あと、江戸期に佐賀藩の御用赤絵屋として鍋島の色絵付を行なった、今泉今右衛門家の14代の作品も何点か展示されておりそれらもすごかった。
青山の裏通りで今右衛門のお店を見かけたことがあり気になっていたのだが、同じところだった。
作品も販売されているようなので、一度見に行ってみようかな。もちろん、見るだけだけど許されるだろうか?
会場: |
サントリー美術館 |
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会期: |
2010年8月11日(水)~10月11日(月・祝) |
開館時間: |
〔日・月・祝〕10:00~18:00 〔水~土〕10:00~20:00 |
休館日: |
火曜日 |
入館料: |
当日 一般1,300円、大学・高校生1,000円、中学生以下無料
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