溜めに溜まった宿題、龍馬伝 第34回 「侍、長次郎」の感想です。

1週間遅れでやっと録画を見て、記憶を辿りながらたらたら書いちょります。


長州って土佐よりも埃っぽいのだろうか?

コーンスターチもぶれ(長州弁などでまみれるの意)が尋常ではない。(笑)


今回の近藤長次郎の自決とそれが留守中に起こったことを知った龍馬が、自分がいればそんなことはさせなかったと言ったというエピソードは、幕末に疎い私ですら知っていた。

それをどんなふうに見せてくれるのかという興味もあった。


グラバー(ティム・ウェラード)から、"You have a good eyes of ships"と言われた長次郎(大泉洋)は、その商人的センスと勝塾で学んだ知識とを駆使して、長州のために軍艦を買い付けることに成功した。

みんなから感謝される大仕事を成し遂げたのに、その際に亀山社中のためによかれと思って、約定に付け加えてしまったことによって、自らの首を絞めてしまうことになった。


薩摩名義のその軍艦を薩摩藩のみならず、亀山社中まで自由に使えるように、と。


それは、長州藩の伊藤さんにも了解を得ていたらしいが、龍馬をはじめとする亀山社中のメンバーにも、そして長州藩の桂小五郎(谷原章介)達にも寝耳に水どころか、許しがたい条件だった。


龍馬が桂さんの怒りを鎮めるために、その問題の条件を取り下げることになった時の長次郎の目を剥いている様子は、商人そのものだったし、そもそも船を使って亀山社中が儲けることを考えるところが商人としては大したものだと思う。

が、いくら自分に一任されていたとは言え、本来の趣旨から外れた私利のための条件を付け加えるのってトラブルの元になるのは容易に想像できることだが。。。


だって、そもそも亀山社中の取り分は要らん!という龍馬とグラバーさんの話から始まったわけだし、その辺は龍馬もしつこく長次郎をはじめとするメンバーにも言ってたわけだし。


とは言え、「武士は食わねど高楊枝」と言うのは長次郎の言う通り、「まっこと好き勝手言いようるのぉ」だ。

だれかの犠牲の上に成り立っている、高潔な暮らしというのは傲慢そのものだ。

この辺のやり取りはそれぞれの言い分がわかる。

ただ、長次郎のやり方がまずかった。


ひとり外に座りこんで物思いにふける涙目の長次郎。

ま、今回は長次郎が主役というのはいやでもわかるが、長次郎だらけの今回の画面。ここまでバランスが悪いとどうなの~?と思う。(←半平太のときには言わなかった苦情)


「ニッポンを守りたいという志をもって土佐を飛び出し、侍になったがです」と、独言?を言う長次郎。

(「志」を口にする人々はみんな死にゆく運命なのか・・・。)


(亀山社中のみんなぁが言うところの)侍としても、「利」を求めた行為は褒められたものではないし、ビジネスマンとしても越権行為は問題外。今回の交渉役というタスクをあきらかにはみ出したと言える越権行為は下手すると背任罪だ。(笑)

金庫番として亀山社中の台所事情を慮るのは素晴らしいことだが、手段が悪すぎた。

と、現代のビジネスパーソン的常識で判断できる状況であったかどうかはこの際置いておくことにしてつかぁさい。



亀山社中のみんなぁの言うことはもっともな部分もあるが、沢村惣之丞(要潤)が、その追加条件を交渉に参加していた自分も知らなかったにもかかわらず、みんなに対して言い過ぎだといさめていたとおり、侍になったからこそ、ここまでやってきた長次郎に言ってはいけないプライドをずたずたにするようなことを言いまくるみんな。

そんな言い方するおまいらも、侍らしくないぞ!


更には、グラバーのわる~い誘いに乗って自分の野望=イギリス留学達成のために長州からのお礼を使ってしまう。もう、あきらかに侍としての誇りはそこにはない。


あんなに仲間から散々言われた後だったから、余計にそうなっちゃったのかもしれないけど。。。


そして、密航に失敗した長次郎。大罪とは言え、密航しかなかったのよね・・・。

なんで龍馬が戻ってくるまで待って相談しなかったんだろう・・・。


密航に対する長崎奉行の嫌疑が亀山社中にかかったことを知った長次郎は、なぜか小曽根(本田博太郎)宅の庭先で自決する。

最期を切腹で締めくくった長次郎。侍だったのよね。みんなもわかってくれたよ。(涙)


一方で庭先でって・・・小曽根さん、かわいそうと思う私はひどい奴?でも、グラバーも小曽根さんも長次郎の密航の件につき、長崎奉行に一切語らなかったという語りで、長次郎がいかに彼らに信頼され尊敬されていたのかがうかがえてうれしかった。


長崎奉行所で取り調べを受ける龍馬。

責められても、こう言い残して去るのだ。

「近藤長次郎は・・・侍ですきに。侍が訳あって腹を切ったがです。をれをあれこれ詮索することは無用でございますきに」

「もう、さがってもええですろうか? 一刻も早う、近藤の亡骸を寺に運んで弔ろうてやりとうございますきに」


ここでの、長崎奉行朝比奈(石橋稜)と、龍馬の対峙がなんだかよかった。

もっと龍馬を責めることもできたはずなのに、武士の情けのようなものを感じた。

こういう、もの言わない芝居を飽きさせずに見せるところがやっぱりいいドラマなのだと思う。


龍馬が長次郎との約束通り、芸子を呼んで卓袱料理を前にするシーンが切なかった。


あ、そういえば私でも知っている史実として高杉晋作(伊勢谷友介)が龍馬にピストルをプレゼントするシーンもあったな。あのときの、いきなり一発撃つ高杉さんっていうか伊勢谷さん。いくらなんでもカッコつけすぎ。いつもはそれでも決まっていてかっこいいと思えたけど、今回は???だったな。


それにしても、物語にあんまり感動できないのはなぜ?

きっとこの暑さのせいと自分の体調のせいだろう。