不思議なのである。
リアルタイムで見た『龍馬伝 第20回 収二郎、無念』。
出だしの坂本權平さんやいつもの活力溢れる勝塾の細部まできちんと作り込んである密度の濃い、情報量の多い画面から目が離せない。
で、いつもならガン見(笑)するタイトルロールを、おいしいお食事に気を取られてきちんと見ていなかった。
武市半平太 大森南朋 の文字だけなぜか瞬間的に見て安心しきったせいか、演出も誰なのかチェックしないまま本編が始まってしまった・・・。
でも、頭の隅で勝手に大友さんだろうと決めつけて見ていたのだが、いざ見始めると演出が誰だとか殆ど気にせずに最後まで見た。
ってことは、少なくとも問題のW氏ではないだろう(笑)
で、見終わった後もう一度タイトルロールを見るのも面倒だったので、wikiの龍馬伝 で演出を確認。(←邪道すぎる)やっぱり大友啓史様だった。
だとすると、ど~いて見終わった後にこんなにフラットな気分なのだろう???
いつも、大友さんや梶原さんの演出のときは気分が上がって、思わず感想速報 なんて書いてしまうくらいなのだが。。。なんてぼんやり思っているうちに、忙しいウィークデーが始まり食欲ブログでお茶を濁す日々。
だけど、いつも感想を楽しみにしているtsumireさん、美冬さん、ちゃずさんが揃って感想を書かれたのをRSSで知り、ど~いても読みたくなったので、重い腰を上げて自分の感想を取り急ぎ書くことに(苦笑)
私は、半平太のように周りに影響されずに意固地に己を貫き通せないので、自分の感想を残すからには人さまの感想はシャットアウトしておきたいのである。そうじゃないと、無意識に盗作しそうで怖いのである(笑)
全体の感想としては、以下の通り。
まず、素直に良かった点。
1.収二郎は迫力ある演技で思わず涙ぐむほどだった。
2.半平太は、意固地なりに筋が通っていてこれからの彼の道筋が無理なく覗えた。その意固地さや無理な感じが、広末加尾の表情を通じて見せてくれたところなんてやっぱり大友さんだ。
3.勝塾は、相変わらずNHK大河ドラマスタッフの実力や演出、その他大勢のきちんと芝居をしてくれる役者さん達のお陰で、見ていて元気になる。塾長(大好き♪
4.龍馬の兄上、權平さんがすっごくいい!最後に龍馬を応援するところなんて、私の大好きな龍馬のお父上を彷彿とさせる物言いと表情だった。すごいな~俳優さんって・・・。その權平さんの反応で龍馬がいかに成長したかという表現になっていたけど、相変わらず周りに祭り上げてもらえる福山龍馬なのねぇ。
5.ラブリー香川弥太郎のシーンがたくさんあったし、一応、弥太郎最大?の謎、「なぜ、喜勢が嫁に来てくれたのか?」の説明も一応あった。でも、なんかホントに占いだけ???と疑り深いワタクシ。
6.やはり、大友さんのBGMや効果音のセレクトは私のツボらしく、無意識のうちに反応してしまう(笑)
歌舞伎で、雪の降り積もる音を太鼓で表したり、同じ太鼓で人殺しを決意するまでの主人公の心情を表したりする、あの手法に通じるものを感じるのだ。
7.勝テツヤが、テツヤ臭を大友さんが抑えてくれたのか、短い出番ながら素直に見ることができ満足。
8.土佐の坂本家の女性たちが、材木の押し売りをする弥太郎をあしらいながら団扇を畳に打ち付ける一連の流れがすごくよかった。ああいう、ちょっとした遊びのセンスが好き♪大友さ~ん。
【印象的だったシーンの感想】
松平春嶽様のところで、デキル熊本藩士横井さんに平井収二郎の件で、古いものが用無しになったとか言われているシーン。不気味な鐘の音のBGM。権力者たちの傲慢な考え方に違和感を覚えているように見える龍馬の心情を代弁しているかのよう。
そこからおなじBGMで続いていて、収二郎が水たまりに倒れている画面はぞっとした。水たまりに血が混ざっている。
そして、続く土佐城の大殿様のシーンは不気味なクワガタ相撲とカラスのギャーギャー言う鳴き声。
それに被る、鐘の音のBGM。十分すぎるくらい不気味。
「いかん、いかん。何の罪状も無い者を捕まえるわけにはいかんろう。」と、大殿様。
BGMと共に、容堂公withクワガタの不気味な絵。
何でもやりたい放題に見えて、一応現代刑法と同じく罪刑法定主義らしき建前が生きていたのかぁ、と妙な所に感心したりする。でも、そもそもの朝廷に取り入ったという罪状はでっち上げ+おとり捜査?なのにね・・・。形式的に言い訳が立つようにしているのがオソロシイ。。。
結局、時代が変わったことが理由で、平井収二郎が罰せられても当たり前だと考える権力者たちを描いている間は、ずっとあの不気味な鐘の音BGMでまとめていた。
この辺は、やっぱり大友美学を感じるところだ。(考え過ぎ?)
【気になったところ】
かご猫
「女だらけ」by弥太郎の坂本家のシーンの最期のほうの乙女ねえやんの動きって気になった人いませんか?
実は、坂本家と言えばかご猫を楽しみにしていて、ずっと眼を皿のようにして探していたのだが、見つかる前に終了。でも、乙女ねえやんの視線の向きや動きを見ているとどうも、画面右下手前あたり(←どこだよ? 笑)にあのかご猫がいたのではないだろうか???気になる~ぅ(笑)
商売の先生=牢屋で会ったジジイ
これだけしつこく、ジジイの教えを繰り返すところを見ると、そのうちジジイ(=中延さん)が出てくるの?
『ずぅ~~~~~~~~っと』
後藤象二郎が、半平太相手に恨みがましく吉田東洋が殺害されてから「ず~~~~~~~っと冷や飯を食わされていた」と言ったあの感じで、反射的に映画『ハゲタカ』での、劉一華のセリフを思い出した。
ええ、ハゲタカ脳という病気のせいですわよ。
因みに、劉君が「ずぅ~~~~~~っと」を鷲津に言ったマンダリンオリエンタル東京のシグネチャーに行ったときには、劉君ごっこしなかったな・・・今更反省。
松平春嶽公への借金1000両が認められたのは、まるで龍馬がおもしろいからみたいだが、勝先生の手紙でも持参したのがホントのところなんじゃないの?またしてもヒーロー福山龍馬が困った時には何でも解決してくれるっていう、福田大先生の脚本の真骨頂なんでしょうか???
權平兄上が龍馬を連れ戻しに来たのがちっくと不思議。
脱藩して1年くらいで、みんなが龍馬の顔を見たいと言っているだけで、脱藩が許されたからと迎えに来るんだろうか?だって、己のやりたいことを見つけた(=喧嘩をしない龍馬の攘夷by坂本家お食事シーンでの兄上の発言)龍馬なんだから連れ戻さないでしょう?みんなに顔を見せたいのなら、手紙でちっくと戻れとか書けばいいんじゃないでしょうか?
結局、勝塾のすごさを素人の權平さんを通じて描いたうえで、そのすごい勝塾生達に信用されて認められている龍馬を描くためだけに、わざわざひっぱりだされたような感じがするのは考え過ぎ?
弥太郎のBGM
以前、饅頭や長次郎のシーンで弥太郎のBGMが使われていて不安(←なぜ?)になったことがあったが 、今回は逆パターンで、弥太郎にちゃんと使われていたのに長次郎のシーンになっても使われ続けていた。
ってことは、商人用のテーマなの???
まだまだ、細かいところも気になる点盛りだくさんだが気力が続かないのでとりあえずこの辺で(笑)
結局、こうして振り返るとやっぱり大友さんの演出は素敵なんだけど、ドラマを普通に観終わった後のすっきり感が無いのはなぜ???
わからないままだ(笑)
いや、細部が素敵ってことは・・・脚本のナニな感じがアレなんで、ドラマとして今一つ素直に楽しめない出来にならざるを得ないのでしょうか???
だって、NHK朝ドラの『ゲゲゲの女房』なんかスリルとか凝ったところはないけれど、普通に安心して楽しめるし、土曜ドラマのチェイスも、突っ込みどころ満載ながらも、ドラマとしてフィクションをちゃんと楽しめる力がある。
龍馬伝は、脚本以外の製作スタッフもちろん佐藤直紀さんの音楽や演出家の才能と脚本のバランスがあまりに悪いような気がする。今更ながら(笑)
だからすっきりしないのかなぁ・・・。
誰か教えてつかぁさい!