大友啓史様演出の第13回「さらば土佐よ」。
録画を見ながらじっくり感想を書きたいと思っていたが、仕事に忙殺されつつも以前からの約束のシグネチャーランチに出かけたり、劉君の桜を見て追悼したりであっという間に日曜日になってしまった。
もちろん、リアルタイムで第14回「お尋ね者龍馬」を見る私。ちゃずさんのおっしゃっていた通り、演出は渡辺一貴さん。
じっくり感想を書くほどの感動でもなかったので、録画を見ながらだらだら書かせて頂きます。
13回の演出の素晴らしさをもってしても、脚本のまずさについては一言書かないと気が済まないと思っていたのだが、今回14回を見てその部分が若干説明されていたりもしたので、とりあえず14回をきちんと検証?してみて、それから改めて13回を見て感想を書くのも新鮮かも・・・と思った。
もしかすると、龍馬の脱藩(not脱糞!だよ~ん、ピエール溝淵さん。絶妙な掛け合いでしたが)の理由がもやもやしているのって、後に描くつもりでわざとなの???とか好意的に見たりもする。そうじゃなきゃ、救いがなさすぎだもん。
まずは、江戸城のシーン。
ゾウガメかと思ったぜよ、あの首だけのアップを見たときは。。。そしてそのゾウガメがすっくと立ち上がって、エラソーな物言いで「海軍を作る云々」と言って「どや」顔をしたのを見た瞬間には、チッっと舌打ちしてしまった。
舌打ちなんてめったにしないのだが、自分の身体反応能力が素直なのには驚いた(笑)
一体何のことか?って感じだが、T.テツヤ演じる勝海舟(まだ麟太郎だっけ?)が力みすぎで浮いてたから、つい。。。
今回、見終わった後になんだかしみじみしたこと。
吉田東洋だけが自分を認めてくれていた。と、回想しながら美味しそうな骨付きハムを頬張る弥太郎。
そして、龍馬を追っている間も繰り返し言う。
以蔵も、武市先生だけが自分を侍として扱ってくれたと、それだけが自分の拠り所のように言う。
そして、そのことに縛られて本当は不本意な道を進んでしまう悲劇。
龍馬のように家族に愛されて育った者は、彼らのように他人のふとした扱いを拠り所にするような弱さはない。
なんかね・・・切ないよね。。。
吉田東洋殺害の下手人としての龍馬の処分を命じられる弥太郎に反対し、「後藤さまは、もう終わった人やろ?土佐は反東洋派の世の中になったがですよ。今こそ上手う、立ちまわるときやろう」としっかり嫁の喜勢。この結婚には何かあるとは思うのだが、やっぱりあの弥太郎と結婚するくらいだから只者ではない。弥太郎の母がすかさず突っ込んだように「かわいい顔して意外としっかりしちゅうねぇ・・・」である(笑)
前回、弥太郎について行くと言った舌の根も乾かぬうちに、土佐を出ないと言い放ったときもびっくりしたがこれからも目が話せないキャラだ。
以前、後藤象二郎が、「かわいい嫁と別れたくなかったら、龍馬を斬れ」みたいなことを言って、弥太郎の顔をおもいっきし挟んで(あれ、絶対痕がついたよね・・・香川さん)脅迫してた時に、喜瀬って象二郎が弥太郎を便利に使うために紹介したのか?とか邪念が浮かんだが、今回の喜瀬のドライな発言を聞くと関係なかったか、と思ったりもする。。。





あれっ?弥太郎のテーマ曲「雑草魂」を最後まで聞いたことはなかったが、今日はその終わり方がまるでラヴェルの「ボレロ」だったのには、ちっくと驚いたぜよ。ま、ボレロは著作権も切れてるから問題ないけど(笑)
【不憫なコーナー】
今回も以蔵は不憫だ~。場違いなお風呂発言をするのもどうかと思うけど、あの、武市センセのイラっとした表情。以蔵を深く傷つけるのに十分だ。
「どいてわしだけ・・・どいでじゃ・・・」 とか言わせなくてもよかったんじゃない?
なんか、説明調でつまんなかった。
今までの佐藤健君の以蔵だって、いつもセリフなしで上手くその不憫さを表現できてたのにねぇ。
「ワシは頭が悪いぜよ、難しい事はさっぱりわからん」とか今更言わせなくても、十分表現できる佐藤以蔵君なのに。。。ま、半平太に聞かせないと、次のシーンと繋がらないけど、もっといい方法があったような・・・。
半平太ったら、あれだけ冷たいイラっとした表情をしておきながら、そのフォーローがすごい。
「わしはのぉ、気楽に話ができる相手が欲しかった。役目から離れて・・・」
「おまんだけは、昔のままでおってほしかった」
「すまんな、以蔵・・・辛い思いをさせて」
このくだりでの、半平太は人たらし・・・なのか、本当にそう思っているのかどっちなの???ってず~~っとじ~~~っと見てしまうような、いい感じ。あのやさしい半平太の素敵な表情。う~ん、いいわぁ。
もちろん、以蔵を道具にするための人たらし作戦なのだろう。いつもの、あのかすかな眼球の動きがそれを物語っている。が、それだけではなくて本当に以蔵を想っているように思えるような物言いと佇まい。そうじゃなきゃ、以蔵を動かすことはできないからね。。。すごいわぁ、南朋さん。
「おまんだけが、わしの友達ぜよ」という半平太。あの表情は、以蔵を道具化する道に進ませていることへの良心の呵責が滲んでいるように見える。そして、素直に感動する佐藤以蔵の表情がすごかった。美しさからはかけ離れていたけど、これからの以蔵の悲惨な道への幕開けに十分な示唆を与えるカット。
そして、土佐のからの、吉田東洋殺害下手人の追手を以蔵が殺すシーンはなかなか。
人を殺すことがそんなに簡単でもなく、以蔵の心にも深い傷を負わせることを、実際のその無様な方法を、ほぼ無音で表現しているところなど新鮮。渡辺Dのアイディアかどうか不明だがなかなかじゃのう。(エラソー)
その無音の後のBGMが私の大好きなBGM。弦楽器のバッハ風のアレですよ♪盛り上がるわぁ。
あれだけ、武市道場で真剣を使って稽古に励んでいたのに人を斬ると言うことは以蔵にとってどれほどハードルの高い事であったのか苦しいほど伝わってきた。実際、斬れなかったんだけど。。。
その、悲惨な仕事を終えた以蔵を一瞬のまなざしで十分すぎるくらいねぎらえてしまう、大森半平太。いいわぁ。
でも、たったそれだけのことで人斬り以蔵になっていくのね・・・不憫すぎる。。。
以上、不憫コーナーといいつつ、すっかり落ち着きを取り戻した大森半平太を絶賛(笑)
龍馬に出会った弥太郎が、脱藩の訳をしつこく問いただしてくれたのは良かった。
「他に、脱藩の訳があるがじゃないがか?答えろ!龍馬!」これって、私だって言いたかったよ~、弥太郎。
けんど、やっぱりさっぱりわからんまんまじゃ。
「龍馬は、まるで別世界におるような凄みのある男に変わっとった」
っていう、説明でダメ押ししたように急にキャラがワイルドセクシー路線になった福山龍馬。
あのきれいなお顔にも「汚し」が入って、より効果的。
時代劇のヒーローのお約束???的な立ち回り。ま、それはそれでいいのかしら?
な~んか、ワンパターンのキムタク@ドラマ臭がしたのは気のせい?
福山龍馬かっこええなぁ、だからダメなんだ、とは思わないけどなんかね・・・なんだろう?あの変身ぶりに説得力が無い。
【半平太コーナー】
攘夷のために藩主へ兵をあげて京に向かうように進言した後の、すっすっと廊下を歩く半平太。素敵♪
大阪で龍馬と対峙する半平太は、もうすっかり肝が据わっていてその不敵な表情や悲しみを背負った表情がいちいち素敵。
大胆不敵でだらしない龍馬を見て、すこしうれしそうに色々と言葉をかける半平太。
「戻ってき、龍馬。わしはもうおまんを許しちゅう」と言った半平太に、「わしは、土佐を捨てた男ですき」
ここの、半平太の残念そうな哀しみをたたえた表情がもう、しびれるぅ~。
「残念じゃのう」「まっこと」
そして、龍馬が一番心配しているであろう家族のことをちゃんと報告してあげるやさしい半平太(涙)
「見つからんように出ていきや」
この二人の対峙。素晴らしかった
前回の、雀のエピソードのときにも違う道を進んでいることを思い知った二人だったが、こうしてまたそれを確認していた。上手く書けないけど、本当にいいシーンだった。。。福山龍馬も大森半平太に呼応するかのようでよかったよぉ。
でも、素直な役者南朋さんは、渡辺さんの演出だとどうしても、怒鳴るようにセリフを言わせられるところがあるのでその点がちっくと残念ぜよ。前回の大友さんの時は、あんな喉から搾り出すようにセリフを言わされたりしなくても十分迫力もあり、説得力もあったのにな~。
大友さんのときのような感動はないものの、第12回のようなストレスはなくてひとまず安心???(←何様?)