思えば生まれた時からそうなる宿命 背負っていたのやもしれませんが
僕は心に風邪をひきました
雨でもないのに一人ずぶ濡れ 食べても飲んでも胸は空っぽ
けれど そんな男を置き去りにしたまま
世界ってやつは至極当然の顔をして 何とも乾いているもので
微熱は治まる事を知りません
そんな最果てのベンチの端 目を腫らせながら鼻すする僕に
優しい女の子が現れました
またもや誰かのものだったけど ある日の怪物を見てどう思ったのか
そっと微笑んでタオルを手渡してくれました
本当はお子さんにくべてあげる筈の暖かい暖 僕にも分けてくれたのです
まるで違う惑星の元から落ちてきた
孤独で大きな迷い子に 酷く厄介な彷徨い者に
その日から馬鹿はもっと馬鹿になり
せめても彼女のお役に立てればと思いました
眠れない夜に胸痛めてたら
ちぎれ散らばる星を集め 部屋のベランダへ振り掛けました
フィアンセに掛けてもらえてないなら
思いつく程のジョークをプリント Tシャツを着込んで駆け寄りました
その度 貴方ははちきれん程の笑顔を見せて
あの日の様に笑ってくれたので 思えばそれだけで幸せでした
だけど一人此処に戻れば 虚しく寂しいこの痛み
速さを超えた速さの様に 風邪っぴきチクチクとさせるのです
だってこの僕 この僕ってやつは 何時までたってもひとりぼっち
月の満ち干きを見かけては 夜な夜な吠えるあの犬にだって
叱っては撫でてくれる飼い主が居ます
ボニーを見かけりゃクライドがいて はらちゃんの横には越前さんが
隣には誰がいるっていうのさ 心に風邪をひいてたので 可笑しく涙止まりません
さようなら 可愛い貴方 さようなら 優しい貴方
縁など普通に外へ出りゃ 有り余る程転がっている
そんな人達傍から見れば
勝手な想いはアニメの1コマ 理屈ばかりの困った喜劇
きっとそんなものだったでしょう
心配する事はありません 今までも堪え歩いてきました
何とか騙してやっていきます
さようなら 僕のものだけではない こんな情けない僕だけの貴方
さようなら 本当に有難う たくさんの雨粒と共に