自転車を走らせ、宮ヶ浜海岸を通る花菜。橋から何か眺めている見物人2人。

花菜も自転車をおりて近づく。

数人のグループが撮影をしているように見える。

少し見ていると、音声のつもりか本物の釣竿にカラオケ屋にあるようなマイクをぶら下げて俳優らしい男女に近づけている。

気がつくと、家庭用のビデオカメラを熱心に覗きながら撮影している男性、レフ板のつもりかベニヤにアルミホイールを張ったもので俳優らしい男女を照らしている背の高い女性、その後ろで盛んに演技指導をする初老の男性。他に子どもが砂場で遊んでいる。見るともなくその風景を見ていると、音声係りが手を振っている。

花菜ああ、ニコニコ笑いながら。来いよう。

横に大きく首を振る花菜。手を振ってその場を離れる。