ヒジュラ暦九年、アブー・バクル、巡礼を先導(6)

 ハキーム・イブン・ハキーム・イブン・アッバード・イブン・ホナイフは、アブー・ジャアファル・ムハンマド・イブン・アリーから伝え聞いたことを、次のように私に述べた。「使徒がハッジを指揮するためにアブー・バクルを派遣した後に、コーランのバラーア〔解約〕章――九章、別名アッタウバ〔悔悟〕章――が神から下された時、アブー・バクルにその啓示を伝達することが使徒に提言された。使徒は、私の家族の男以外の者をこの任務に就かせるわけにはいかない、とお答えになった。そこで使徒はアリーを呼び、バラーア章の始まりからの章節を携え、人々がミナに集まり犠牲を捧げる日に、それを人々に宣言せよ。不信仰者が楽園に入ることはなく、今年以降は、多神教徒の巡礼は許されず、裸の者によるカアバのタワーフは許されない。使徒と協定を結ぶ者は、その定められた期間までのみ盟約は守られる、と命じられた」。